疲労も考慮、点差に応じて球種・球数を意識? 数字から見えるDeNA・山崎康晃の工夫
昨秋のドラフト1位ルーキー山崎康晃が今シーズン開幕カードから守護神として1軍デビューし、貫禄すらあるマウンド度胸でリーグ2位のセーブ数を記録している。苦しいブルペン陣の中で調子が落ちない山崎がこのまま突っ走ることができるだろうか。
2015/08/12
ベースボールチャンネル編集部
疲労をためない工夫
興味深いのは、山崎が状況によって、ある程度球数を考えて投げていると思われる点だ。
これは山崎がセーブ機会で登板した際の点差別のデータである。1点差の場面では、与四球率3.00と全登板平均の1.93から悪化しており、逆に奪三振率は11.57から13.50と向上している。そして点差が2点・3点と開くごとに、与四球率は下がり、奪三振率も比例して下がっていく。
山崎の代名詞である、伝家の宝刀ツーシームは、変化量や変化方向などを変えて、数種類投げ分けていると言われており、おそらく点差によって投じるツーシームの種類を変化させているのではないだろうか?
すなわち、1点差で1点も与えられない場面では際どいところを狙いつつ、変化量の大きいボールゾーンに切れ込むツーシームを主体に投じる。逆に点差がある場面では、ランナーを貯めないように、ストライク先行で引っかけさせるような変化量の少ないツーシームを投じる。そして、1点差の場面では打者1人あたり4.37球を平均で投じているのが、3点差で余裕のある場面では打者1人あたり平均で3.47球と、平均で1球も少なくなっており、疲労も軽減させるような工夫も試みているのではないだろうか?
このように疲労については、山崎自身に工夫の跡が見られるのと、イニング跨ぎは1回のみと起用する首脳陣も配慮を見せているが、この先ペナントレースは2カ月も続き、ルーキーの山崎にとって未知の経験が待ち受けていることになる。
「小さな大魔神」山崎の存在がチームの命運を握っているのは間違いない。
これからも横浜スタジアムを大いに沸かせてほしいところだ。