【データで選出5月月間MVP】ヤクルト・奥川恭伸がセ・リーグ投手で1位に。野手では楽天・岡島豪郎、ヤクルト・塩見泰隆がトップに
2021/06/08
DELTA
柳田に迫る長打力を発揮した岡島、少ない打席で素晴らしい成果を残した塩見
評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。
まずは野手から見ていこう。パ・リーグは岡島豪郎(楽天)、セ・リーグは塩見泰隆(ヤクルト)がそれぞれ14.0点、11.7点で最高の貢献を果たした。
岡島は5月28日のDeNA戦で5打席に立ち4安打1四球を記録するなど、この3連戦で8安打し、13打席で9度出塁する凄まじい出塁能力を発揮した。月間で見ても出塁率.474と、ほぼ2打席に1度のペースで出塁している。加えて注目したいのが長打率だ。岡島は長打面でそれほど実績のある打者ではないが、5月の長打率は.590と、ランキング内では柳田悠岐(ソフトバンク)の.638に次ぐ好成績を残している。出塁だけでなく長打面でも成果を残したことが高評価につながったようだ。岡島の打撃は平均的な打者が同じ打席に立った場合と比較して、12.5点多くチームに得点をもたらしたと推定できる。
塩見も打率/出塁率/長打率が.383/.431/.600と素晴らしい打撃成績を残しているが、打撃貢献は6.6と岡島の半分ほどにとどまっている。これは岡島が95打席に立ったのに対し、塩見は65打席しか立っていないことが要因として大きい。質の面では高い貢献を残したが、量にあたる打席数が少なかったためそれほど貢献が伸びなかった。ただ逆に言えばわずかな打席でこれだけの貢献度を見せたところに、5月の塩見の打撃の凄まじさがある。
打撃だけでなく、守備面でも違いを見せた巨人・岡本
守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
守備について、ランキング内では岡本和真(巨人)が最高の貢献を残した。岡本は5月11日のDeNA戦9回裏に桑原将志の三塁線への打球に対してファインプレーを見せるなど、月間を通して高い守備力を発揮。5月は好調な打撃が目立ったが、実は守備面でも違いを作り出していたようだ。こうした守備貢献の高さもあり、セ・リーグでは塩見に次ぐ総合2位にランクインしている。
ほかには宗佑磨(オリックス)、塩見、佐藤輝明(阪神)らも守備で好成績を残していた。