【データで選出5月月間MVP】ヤクルト・奥川恭伸がセ・リーグ投手で1位に。野手では楽天・岡島豪郎、ヤクルト・塩見泰隆がトップに
2021/06/08
DELTA
奥川は投球回の少なさを奪三振や被本塁打などでカバー。田中はMLB挑戦前とは違った投球
投手の評価も質と量両面でどれだけ貢献したかから求める。質は「奪三振」、「与四死球」、「被本塁打」、「ゴロかフライかライナーかといった打たれた打球の種別」、量は「投球回」によって決まり、そこから平均的な投手と比較しどれだけ多くの失点を防いだかを算出する。
投手については、パ・リーグではニック・マルティネス(ソフトバンク)、セ・リーグでは奥川恭伸(ヤクルト)がそれぞれ5.2点、5.1点で最大の貢献を残した。
マルティネスは新型コロナウイルス感染の影響により来日が遅れていたが、5月1日に今季初登板を果たすと、月間を通して好投を継続した。5月29日の巨人戦では来日後初の2ケタ奪三振を記録。もともと三振の多いタイプではないが、5月は平均が20%程度となるK%(奪三振/打者)で28.1%をマークした。
先発でマルティネスを超えるペースで三振を奪ったのが、セ・リーグの奥川、柳裕也(中日)だ。2投手はK%でそれぞれ29.2%、32.1%を記録。ほかの項目においても軒並み好成績を残したことで上位にランクインした。奥川については投球回が少ない点でほかの先発に後れをとったが、被本塁打を1本も浴びなかったことも高く評価される要因となっている。
一方、奪三振以外の部分で違いを作ったのが田中将大(楽天)だ。田中はK%が19.9%と平均レベルだったが、5月に投げた35回で与えた四球はわずか4つ。平均が10%程度となるBB%で2.8%を記録した。また50%弱が平均となるゴロ率でも56.1%と高い値をマーク。奪三振がそれほど多くない中でも、与四球を抑えゴロを多く打たせることで、リスクの小さい投球を続けていたようだ。奪三振能力に圧倒的な強みがあったMLB挑戦前とは一味違った投球を見せているようだ。
DELTA(@Deltagraphs)http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。