能力はダル級 『泰然自若』高卒新人史上20人目、完封勝利の高橋光成は獅子の希望【中島大輔 One~この1回をクローズアップ】
ライオンズ期待の新人、高橋光成が23日のロッテ戦に先発。高卒ルーキーとしては史上20人目の完封勝利をあげた。今回は高橋らしさが出た、この試合の9回表1イニングをクローズアップしたい。
2015/08/24
潮崎2軍監督も期待する高橋の能力
快挙への期待が高まる西武プリンスドームに突如、暗雲が立ち込めた。8月23日のロッテ戦で高卒ルーキーとしては史上20人目の完封勝利を懸けてマウンドに上がった9回、それまで被安打5で無失点に抑えてきた高橋光成が、変調を見せたのだ。
先頭打者のアルフレド・デスパイネを144kmのストレートで空振り三振に仕留めた直後、角中勝也にストレートの四球を与えた。この日、右腕が歩かせたランナーはふたり目だった。
一発のあるキューバ人打者を力勝負でねじ伏せ、完封勝利まであと2アウト。ゴールがグッと近づいたことで、欲が力みにつながってしまったのだろうか。
この場面で思い出されたのが、潮崎哲也2軍監督にインタビューした際の言葉だ。
「光成の能力的には、ダルビッシュ近くまであるかな。それは言いすぎだろうと思われるかもしれないけど、本当にうまいこと成長したら、日本を代表するようなエースになるんじゃないかなという希望を持っていますね」
直後、入団から見守り続けてきた指揮官が不安を口にしたのだ。
「光成と付き合いだしてまだ数カ月という段階なので、本当のメンタル的な強さがどうなのか、はっきりわからないところがまだあります。けっこう優男(やさおとこ)なんですよね。物静かな感じで、人の話に『はいっ!』って直立不動で聞くようで、やんちゃくれたところが少ないんですよ。そういう人間って、プロで大丈夫かなって、多少感じてしまう(苦笑)」
そう話した潮崎2軍監督は、自身に言い聞かせるように続けた。
「でも、ポテンシャルで何とかなるんだろうなっていう感じでは見ていますね」
高橋がプロ入り4度目の先発マウンドに臨んだ8月23日の試合は、ゲーム差0.5で迎えた3位ロッテとの直接対決だった。シーズンの残りゲームは30を切っている。どんなに経験豊かな投手でも、クライマックスシリーズ進出を懸けた重圧を感じながら登るマウンドのはずだ。
そんな一戦に、高卒ルーキーはどんな心境で臨んだのだろうか。