「状況を頭に入れて」プロ初セーブ リリーフ配置転換で進化を遂げる大瀬良大地
昨年新人王を獲得し、今季も先発の一人と期待された大瀬良大地。しかし、開幕から結果が出ず、チーム事情もあり、リリーフ陣の一角としてマウンドに上がる日々が続く。
2015/08/27
抜群の適応能力でリリーフへなじむ
やはり「背番号14」にはスタジアムの空気を変える力がある。チームの勝利への展開でマウンドに上がり、150キロを超える快速球で、相手打線の反撃への流れを封じ込める。すると、いつもの笑顔で爽やかにベンチに戻り、ストッパーの中﨑翔太へとバトンをわたす。
昨シーズン、大瀬良大地は先発で10勝をマークし新人王に輝いた。もちろん、今シーズンも先発ローテーションの期待であったが、開幕から2カ月あまりで、わずかに1勝。リリーフ陣が安定しないチーム事情もあり、リリーフに配置転換された。
6月に中継ぎに配置転換されたが、すんなりはいかなかった。
「どうしても気持ちの面で入れ込み過ぎて、それがプラスに作用しませんでした」
気持ちが入ることが力みにもつながり、それが、投球時の体の開きにもつながっていたのである。150キロの快速球が痛打されることもあり、防御率も3.74まで上昇してしまった。
しかし、さすがの未来のエースは抜群の適応能力でリリーフの役割になじんでいった。まず、気持ちもアプローチが大きい。「変に、やってやろうと思いすぎず、状況を具体的に把握してマウンドに上がるようにしました」と大瀬良は明かす。
26日の阪神戦は、想定外の状況でマウンドに上がった。9回、カープのクローザー中崎が打たれ、そのあとをリリーフした大瀬良。福留に安打を許し、一死満塁、バッターにゴメスを迎える。しかし、ここでも大瀬良は変わらなかった。状況を把握して、冷静に外角への変化球でショート併殺打に仕留め、プロ初セーブを記録した。
頭に入れるのは、力みにつながるような「気持ち」でなく、投球の参考となる「状況」であった。すると、マウンドで力みが消え、本来のキレの良いピッチングが戻った。