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谷繁元信氏が「まったく意味がない」と指摘する捕球法とは? キャッチングの肝は「捕る」ではなく「受ける」【インタビュー後編】

2021/07/17

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「どんな球であっても、必ず自分のところにボールはくる」

(つづき)

──谷繁さんの言葉になると、説得力がありますね。キャッチングは、「止める」という意識ですか?

谷繁 「止める」もそうですし、「受ける」ですね。「ボールを捕る」のがキャッチャーの仕事ですが、自分からヒジを伸ばして、わざわざ捕りにいく必要はまったくありません。どんな球であっても、必ず自分のところにボールはくる。だから、投球のラインにミットを置いて待っていれば、おのずとミットに入ります。

 

──話だけ聞いていると、とてもシンプルですね。実践するのは当然、難しいのでしょうけど。

 

谷繁 ボールを捕りにいこうとすると、どうしても余計な力が入ってしまいます。力が入るから、ポロッとやってしまう。どれだけ力を抜いて、ボールを待っていられるか。力を抜いた状態でミットにボールが入れば、ボールの衝撃によってミットは勝手に締まってくれます。7~8割ぐらいの力で、「ポン」と受ければいいんです。

 

──ヒジを伸ばして、体の前で「パチン!」と捕りにいくキャッチャーもいますが、メリットは何もないですか?

 

谷繁 まったく意味がないですね。どこにもつながっていかないですから。たとえば、前で捕ろうとすると、バットに叩かれる可能性がひとつ。もうひとつは、送球を考えたときに、わざわざ前で捕ってから自分の体の近くに持ってくる時間と、ボールが向こうから進んでくる時間を比べたら、ボールのほうが速いわけです。コンマ何秒の差かもしれませんが、それが盗塁のアウト、セーフにつながっていきます。例外があるとすれば、ショートバウンドに対して、手を伸ばして捕りにいくときだけですね。

 

──ヒジはある程度の緩みを持たせておく。

谷繁 曲げすぎても、伸ばしすぎてもダメですけどね。

 

──ヒジを曲げることで、ボールの力に負けてしまうことはありませんか。

 

谷繁 それは、ヒジを支点にして考えているからです。ヒジから先にしか力が入らないので、ボールの勢いに負けてしまう。さっきも言ったように、支点になるのは肩です。肩甲骨から使おうと思えば、力の入り方がまったく変わってきます。

 

──高校生は、低めに対してミットが垂れるキャッチャーがいますが、これも同じことでしょうか。

 

谷繁 ヒジから先の小手先で捕ろうとしないことです。肩から捕る。この感覚がわかれば、ミットは止まります。

 

──「ヒジを支点にして、車のワイパーのように使う」という指導法も聞いたことがあります。

 

谷繁 ぼくも昔は、ヒジを支点に動かそうとしていました。でも、これでは力が入りにくく、動かせる範囲も狭い。肩を支点にしたほうが大きく動かすことができて、強さもあります。

 
 
(つづきは書籍で)
 
谷繫元信(たにしげもとのぶ)
1970年生まれ、広島県出身。江の川高から1988年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズに入団(98年に日本一)。2002年より中日ドラゴンズに移籍、落合博満監督の下、リーグ優勝4回、日本一1回に貢献した。2014年から選手兼任監督。2015年に現役引退、2016年に監督を退任。通算3021試合出場(NPB記録)、通算2108安打、ゴールデングラブ賞を6回、最優秀バッテリー賞を4回受賞。現在はプロ野球解説者として活動する。
 
大利実

【書誌情報】

『高校野球界の監督がここまで明かす! 投球技術の極意』


(著者:大利実/280ページ/四六判/1700円+税)
「投球指導」「投手攻略」マル秘上達メソッド
 
【収録高校】 常総学院/島田直也監督 県立大崎/清水央彦監督 八戸工大一/長谷川菊雄監督 立花学園/志賀正啓監督 三重・海星/葛原美峰アドバイザー
 
【日体大】 辻孟彦コーチ
 
特別収録 プロが語る『投球論』 【制球力向上】吉見一起(元中日)【捕球技術】谷繁元信(元横浜・中日)
 
 
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高校野球界の監督がここまで明かす! 投球技術の極意

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