オールスターで痛感、中田や西川に代わる新しいスター出現を【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#152】
オールスター第1戦を現地観戦した。他球団の出場選手を見ながら、改めて中田や西川ではなく、大谷の次の新スターの登場が必要だと感じた。
2021/07/20
えのきどいちろう
大谷の次は清宮と期待されているが……
当日は打撃練習やホームランダービーも見たかったので、かなり早目に球場入りした。関東はちょうどこの日、梅雨明けが発表である。夏の空気感だ。12球団のユニを着た人が西武電車を降りていっせいに改札へ向かう。交流戦が定着したとはいえ、中日、阪神、広島といったファーム戦でも見かけないユニの人が改札を抜けていくのはなかなか壮観だ。ハムファンも皆無じゃなかった。ていうより意外なほど目についた。存在感ミニマムでも応援する価値はある。いや、存在感ミニマムだからこそ応援しないとね。
オールスターは「リーグの顔」「チームの顔」が一同に会する場所だ。まぁ、上沢、近藤は間違いなくそのような存在だが、ここに中田翔が加わればどんなに恰好がついただろうと思う。中田は今季、不振を極め、腰痛もあって1軍から遠ざかっている。今季は高濱、淺間、野村、万波といった若手を起用するシーズンになった。といって、まだ高濱、淺間らは「リーグの顔」「チームの顔」ではない。
スターが欲しい。そう思った。例えば今季首位を快走するオリックスには山本由伸と宮城大弥がいる(期せずして1、2戦の先発投手になった)。吉田正尚、杉本裕太郎がいる。「リーグの顔」と「チームの顔」のバランスがいい。新ネタも欲しい。例えば阪神の佐藤輝明。交流戦、メットライフでは大爆発だった。一方、西武なら「39試合連続無失点記録」を樹立した平良海馬だ。「平良vsサトテル」は実現しなかったけど「平良vs村上宗隆」「平良vs山田哲人」は大いに盛り上がった。あの雰囲気こそオールスターだ。
もし、今、大谷翔平がファイターズにいたら光景は一変する。パの先発は山本ではなく、大谷だろう。ファイターズは大谷の次をつくれていないのだ。その意味では清宮幸太郎の伸び悩みが痛い。みんなもう忘れてしまっただろうか? 大谷のMLB挑戦が決まり、同じオフのドラフトで7球団競合の末、清宮の交渉権を獲得したとき、世間は「日ハム持ってる」と大騒ぎしたのだ。スターの代わりにスターを獲った。ひとり去っても次のヒーローが登場する。鎌ケ谷の宿舎で、入寮した清宮と旅立ち前の大谷が挨拶を交わしたニュースはキラキラした出来事として報じられた。あの時点で清宮が4年後、オールスターにも(侍ジャパンにも)選ばれてない世界線を誰が想像したか。
さて、肝心かなめの上沢直之だが、パの3番手で登板した。僕は3塁側内野席にいたからブルペンに入るところからその姿を追うことができた。が、ピッチングは散々だったのだ。2回40球投げて6被安打、4失点。5回表いきなり菊地、梅野、近本、坂本に連続安打を食らい、1アウトも取れず2失点したときは頭くらくらした。6回は菊地に逆転2ランを浴びる。菊地涼介は4の4、2打点でこの日のMVPを獲得した。それを上沢が(かなりの部分)アシストしてしまった恰好だ。
「とりあえず四球だけは出さないように気をつけて、ストライクゾーンで勝負することを意識して投げました。シーズンじゃなくてよかったなと思います」(上沢直之コメント)
まぁ、シーズン中と比べたらシンプルな攻め方だったかな。ファンとしては「つるべ打ち」も「打者一巡」も見たくなかったけど、上沢の本当の力はあんなもんじゃないと信じたい。僕のオールスター第1戦のヒーローは(上沢の負けを消してくれた)荻野貴司だ。ロッテ勢は目についた。ホームランを打ったレアードはもちろん、荻野や中村奨吾がよく打った。
まぁ、仙台の第2戦を見に行っていたら、上沢がポンスカ打たれるところすら見られなかったわけで、僕のオールスター観戦は大当たりだったと言える。レアードのホームランにバンザイしたのも「お得ポイント」に加えていいだろう。
が、帰りの西武電車で考えたことはひとつだった。ファイターズは中田、西川に代わるスターをつくらなきゃいけない。パリーグの売り出しの選手、新ネタ、旬のスターを出さなきゃいけない。それは存在感ミニマムのオールスターを見た、僕のたっての願いだ。