弱者が強者に勝つ――宮崎敦次、グラブの刺繍に込めた恩師への想い【マリーンズファーム通信#5】
一軍での活躍を夢見て、日々二軍の浦和球場で汗を流す選手を、マリーンズ広報がクローズアップする連載『マリーンズ浦和ファーム通信』。第5回目は、8月に二軍戦で初勝利をあげた、ドラフト6位ルーキーの宮崎敦次投手だ。
2015/08/31
画像提供：千葉ロッテマリーンズ
自分の姿を通して、子どもたちに夢を
プロ入り直前の12月。プロ用のグラブを作ることにした。メーカーからは刺繍でなにか文字を入れたらどうかと勧められた。いろいろと考えたが、結局、「坂原」と入れてもらった。自分を野球の世界に入れてもらった恩人のことをいつまでも忘れないために。そして野球と人生のイロハを教えてくれた恩師の名前をそこに明記することで、いつも原点を忘れないようにしたいとの思いからだ。
下関国際高校は今年、春季県大会で初優勝をし、夏の山口大会では、ついに決勝まで勝ち進んだ。最後は下関商業に1-5で敗れたもの、見事な戦いぶりだった。監督就任9年目でたどり着いた県大会決勝だった。
「弱者が強者に勝つ醍醐味。監督がおっしゃった言葉は今でも大切にしていますし、今となってよくわかるような気がします。野球エリートでもなく、身長171センチの自分でも勝てる。そういう姿をプロで見せることによって、子どもたちに夢を与えることができるような存在になりたい。母校にも甲子園初出場を目指して頑張ってほしい」
宮崎は右腹斜筋を痛め戦線離脱した時期もあったが、MAX146キロを計測するなど8月には二軍戦で初勝利も記録。着実に前に進んでいる。二軍首脳陣は「ロッテの先輩でいうと藤田宗一さんのような投手。体は小さいが馬力はある。キレもある」と期待をかける。
弱者が強者に勝つ。高校から本格的な野球人生をスタートさせた若き左腕。いつの日か、一軍の舞台で強者たちを三振に打ち取る姿をイメージして、そして母校の飛躍を励みに日々、練習に明け暮れている。
