ペナントV争い、CS争いの切り札は誰? 「9月男」に注目【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は「9月男」に注目したい。
2015/08/29
いよいよ来週から9月、長いペナントレースも終盤戦に突入する。
この時期に派手な活躍で、殊勲打を連発する打者は通算成績以上に印象が強くなる。いわゆるラッキーボーイ的な活躍で、チームに勢いをもたらしてくれる。
メジャーリーグでは、ポストシーズンが行われる10月に活躍した選手を、称賛を込めて「ミスター・オクトーバー」という称号をつけることが多い。
今回は優勝争い、クライマックスシリーズ争いの最中、10月男ならぬ各球団の打線の「9月男」を見てみたい。
9月に強い選手が多いロッテ
まずはパリーグだ。
現時点で守備位置での出場試合数が最も多い選手と、それに次ぐ選手の2012年~2014年の9月の成績の総計を出した。
赤字は10本塁打、30打点、10盗塁、打率3割以上。青字は打率1割台。
首位を独走し、マジックナンバーが出ているソフトバンクは、松田、柳田と9月に強い選手が二人。李大浩も10本塁打42打点。強力打線は万全だ。ソフトバンクには9月の3年間通算打率が.366の長谷川勇也がいるが、今は戦線離脱している。
柳田は西武の秋山と激しく首位打者を争っている。9月の実績のみで見れば柳田は.313、秋山は.275、柳田のほうが優位に見える。
しかし今季の二人は依然として.360を超える高い打率を維持。二人とも過去とは違う次元に進化したともいえよう。
ソフトバンクに対抗できそうなのは、ロッテだ。
打率3割を超えた選手が角中、清田、デスパイネと3人いる。今江敏晃も.299。今、西武と激しく3位の座を争っているが、打線が決め手になるかもしれない。
対する西武は浅村栄斗が.297、他はあまり数字としては良くない。「9月男」は見当たらない。中村剛也も本塁打こそ多いが、9月は得意とは言えない。
パリーグ一の「9月男」は、日本ハムの陽岱鋼だ。殊勲打が多い上に快足も目立つ。昨年は.363、5本塁打22打点。ソフトバンクと8.5差もあるが、これを詰める原動力になるかもしれない。
オリックスは糸井嘉男が少し良いくらいで「9月男」は見当たらない。5位浮上でこれからポストシーズンを目指すが、やや気がかりだ。
楽天は銀次が高打率も、他にチームを引っ張りそうな選手はいなさそうだ。岡島豪郎は9月.323と打っているが、現在は二軍落ちしている。