【2014年タイトルホルダー 最多安打編】 好対照な1番打者――長打の山田哲人、単打の中村晃
7日をもって、2014年のペナントシリーズ全日程を終了し、各リーグのタイトルホルダーが確定した。それぞれの個人の成績を振り返ると記録の価値や、チームの状況にどう影響を及ぼしたのかまで見えてくる。最多安打はヤクルト、ソフトバンクの1番打者に輝いた。
2014/10/15
単打率が低い山田哲人。右の強打者をおさえてのタイトルに価値あり
セ・リーグの最多安打は193安打で山田哲人が受賞。日本人右打者のシーズン安打記録を塗り替えての初タイトル獲得となった。
開幕から1番・二塁として起用されたが、今シーズンがレギュラー1年目。3・4月は27試合で32安打、月間打率3割に届かなかったが上々のスタートと言えた。
5月に入るとさらにペースアップし月間42本と安打を量産。その後も打棒は衰えることなく、8月にも今シーズン2度目の月間40安打超を記録。
8月を終えた時点で114試合、160安打。試合平均1.40本でシーズン200安打が視野に入ってきた。
しかし9月に入るとペースが急に落ち、25試合で25安打。200安打には届かなかったものの、143試合目(出場142試合目)に藤村富美男が1950年に記録した191安打の日本人右打者の記録を更新し、最終的に193安打まで伸ばした。
「右打者」ということで注目されたが、意外にもセ・リーグの最多安打は今シーズンで8年連続で右打者の受賞となる。
今シーズンの山田は29本塁打、39二塁打、長打率.539、単打率はパ・リーグ最多安打の中村晃が.830だったのに対し、山田はリーグで4番目に低い.642。
外国人を中心に右の強打者が目立つセ・リーグにあって、堂々の安打を積み重ねての190安打超は賞賛に値する記録だ。
これまでにシーズン180安打超はのべ53人いるが、うち36人がシーズン140試合超となった2001年以後の記録となっている。当然だが最多安打は本数勝負なので試合数が多いほど有利になる。
そこで安打数を1試合平均で見ると今シーズンの山田は1.35本、ブーマーが1985年に130試合制で最多となる173安打を記録したときの1.34本を僅かだが上回っている。
1試合平均安打1.3台は過去の右打者の記録と比較してもそん色ない。単に試合数の増加が新記録につながったわけではないことがわかる。