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東妻勇輔、「思い込みを一新」して動くボールを軸に飛躍。投球スタイルからは想像できない「緊張しい」な一面も【千葉ロッテマリーンズ・若手選手インタビュー連載#12】

2021/10/05

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東妻は勇気のある投手だ

 チームは47年ぶりのリーグ首位優勝をかけて、シーズンの最終盤へと入った。東妻も無論、優勝に欠かせないピースの一人だ。

 優勝への意気込みを訊ねると、
 
「自分の立場をしっかり理解して、自分が出せるところでしっかり力を出して、(自分の)やれることをしっかりやれればいいかなと思っています」
 
と淡々と語った。
 
 極めてクールな回答である。しかし、それ以上でもそれ以下でもない東妻らしい答えだと思う。彼は基準を周囲や環境に求めない。「自分が投げているボールが打たれるのは自分の実力不足」と、そうはっきり言い切るのだ。自分の中に答えを探し、見つけてきた男なのである。
 

――『僕は球が速いのが武器だ』と思い込んでいたのを一新して、“動くボールで勝負する”というところを軸にした。
 
 そう東妻は語った。
 
 一つの武器に固執するあまり、ほかの魅力に気がつかないということは往々にしてある。だが、その武器を手放し、自分を一から再定義するという決断とその過程は容易なことではない。大きな勇気が要るのだ。
 
 東妻はとても勇気のある投手だと思う。
 これまでの自分を手放す勇気。投げる怖さも認めた上でマウンドに上がる勇気。勝負所でゾーンに投げ込む勇気。
 
 そして、その勇気をもって困難を乗り越え自信に変える。
 
 東妻はチーム悲願の優勝へ、キーマンとなるべき選手の一人だろう。そして、その先に待つ、ポストシーズンのさらに大きな舞台でも、その勇姿をファンに見せてほしい。
 
 
取材・文 森田深志

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