高部瑛斗の平常心が優勝に繋がる。安打量産の秘訣は「“打てているときこそ”…」【#25】
2022/06/20
千葉ロッテマリーンズ
「フォアボールよりもヒットで」
盗塁の面でも、持ち前の俊足だけに頼らず、「試合前にピッチャーの癖であったりとか、カウントによって変化球がきやすいカウントであったり、そういうところで(盗塁に)いけている」と研究を怠らない。根拠を持ってチャレンジすることで、数だけではない、高い成功率を実現している。
四球の少なさを課題に挙げられることもあるが、高部がそこが足りないと思ったら、今後地道に埋めていくだろう。現に、
「まずはヒットを打ちたいという気持ちが一番なので、フォアボールよりもヒットで出たいという気持ちはあります。(一方、)その中でもやっぱりがっつかないで、ちゃんと見極めていくという時も大事だなと感じているので、そこはうまく見極めながら、少しずつやれてきてるかなと思っています」
と語る。まだまだレギュラーを確約された立場ではないという自覚から、「フォアボールよりもヒットで」という意識の方が、今は優先順位が高いのだろう。これは合理的な判断であり、同時にさらなる飛躍への期待も抱かせる。
ここまで全66試合に出場中の高部。全試合出場は、高部が今季目標に掲げるところでもある。もちろん疲労は出ているようだが、「自分が思っていた以上に、(疲労と)付き合いながらちゃんとできている」と手応えを口にする。食事の面でも「僕はけっこう体重が減りやすいんですけど、そういう面でなるべく摂るようにしたりとか、栄養士の方と話して少しでも体重を落とさないように」と作り上げた肉体の維持にも気を遣っているようだ。
好不調の波が小さい選手はレギュラーとして計算しやすい。高部は、そんなチームの編成の軸となる選手になっていくだろう。
一日一日切り替えて、積極的に挑戦。失敗にも成功にも根拠を求め、確率を上げる。こうした小さな積み重ねだけが、誰も手の届かない高みへと連れていってくれる。コツコツと堅実にレベルアップし、走攻守で真のプロフェッショナルへ。高部瑛斗は、そんなロマンを見せてくれる究極のリアリストだ。
取材・文 森田深志