ポスト今江は誰? 「ミスターロッテ」の退団で、球団の育成力が問われる2016年
「ミスターロッテ」だった今江が今季限りでロッテを退団する。長年攻守にわたりチームを支えてきた主力選手が抜けることで、戦力は大きくダウンする。一方で若手にとってはレギュラーを奪うチャンスでもある、ポスト今江を制するのは誰か?
2015/11/26
体調万全の若手より、完調手前の今江を選択した指揮官
左手首の骨折で戦列を離れていた今江敏晃が、いよいよファームで実戦に復帰するとなった今年の9月上旬のことだ。
千葉ロッテ・伊東勤監督は、試合前に記者団に囲まれるとこんなことを漏らしていた。
「(中村)奨吾には代役じゃなく、レギュラーを獲りきるくらいの覚悟でと、いつも話しているんですけどね。本人もわかっていると思うんですが、なかなか……」彼に対する期待がゆえの苦言だった。
7月14日から約1カ月半の間、中村は、怪我で戦列を離れていた今江の代役を務めた。スタメン起用直後は水を得た魚のように結果を出し続けた中村だったが、今江復帰のニュースが巷で囁かれ始めた8月下旬を迎えると、他球団の研究に頭を悩ませていたのか、今江復帰のニュースを気にして、余計なことまで考えてしまったのか、消極的なスイングが目立ちはじめた。
9月4日から本拠地QVCマリンで行われた埼玉西武との3連戦は、チームのクライマックスシリーズ進出を争う上で大事な3連戦となった。そのうち2試合にスタメン出場した中村だったが結果は6打数ノーヒット。3戦目にはスタメンを、高濱卓也に譲る結果になった。
チームもここで3連敗し、いよいよあとがなくなると、伊東監督は、予定より早く今江の1軍招集というカードを切る。
万全の状態の若手よりも、完調手前の今江を使う。これが、伊東監督が下した秋季キャンプ前での今江と、中村ら若手選手たちの評価だった。