安田尚憲、ついに辿り着いた「シンプル」な構え。守備力向上が生んだ相乗効果も【#30】
2022/09/17
産経新聞社
常に求めていかないといけない「長打」
昨年までよりも格段に確実性を増した打撃。しかし安田は、自分が求められているものを自覚している。自分は主軸を打つことを期待される選手であるということを。
「やっぱり長打率というのが、常に求めていかないといけない数字だと思います。その中で出塁率も大事になってくると思うので、その両方はしっかりと追い求めてやっていきたい」
いまの課題は「調子が悪くなったときにどう修正するか、戻ってくるかというところ」だという。不調になった時こそ真価が問われる。だが、時間をかけて築き上げてきたものは、そう簡単には崩れない。歩んできた道のりは、遠回りも財産だ。
チームは上位進出、そして悲願の日本一へ、まだまだ勝ち星を重ねなければならない立場にある。安田はそんなチームを勝利へ導く活躍が期待される。
「本当に残り(試合)少なくなっていて、ラストスパートっていうところ。まだ全然上は目指せる位置ですけど、できることと言ったら、やっぱり目の前の試合、一試合一試合を勝つことだけだと思うので、目の前の試合に集中してやっていけたらなと思います」
後半戦の安田は、確かに調子が良い。打席での雰囲気は、前半戦とは別人のようだ。
だが、この好調ぶりは、あくまでも覚醒の序章である気がしてならない。ファンの方々もまた同じ気持ちではないだろうか。
“安田尚憲はまだまだこんなものじゃない”。
化けるときは一瞬で化ける。
その瞬間は、負けられない戦いの中で訪れるはずだ。
今年のペナントレース最終盤、そしてポストシーズンが飛躍へのトリガーとなるか。
取材・文 ベースボールチャンネル編集部