新進気鋭の左腕・本前郁也、長くローテを担う存在へ 注目株の成長支える二人の左腕とは【千葉ロッテマリーンズ・若手選手インタビュー連載#2】
2021/05/24
ファームでの現在地
一軍での2試合はともに5回までで降板。先発ローテーションを安定して回るためには、長いイニングを投げるということも課題となってくる。
「自分の楽なフォームで投げるっていうのは、一番重要視しているところかなと思います。疲れない、身体に負担の無い投げ方っていうのは、長くイニングを投げる上でも大事かなと思うので、そこは意識しています」
ファームではここまで5試合に登板し、24回を投げて防御率3.38。奪三振13に対して与四死球15。昨年のファーム成績が9試合(27回2/3)を投げ、奪三振29に対して与四球6だったことと比べても試行錯誤の様子がうかがえる。
「一回(ファームに)落ちてしまって、調子自体も落ちていたんであれだったんですけど、結構イニング、球数を投げさせてもらえることがあったので、その中で投げる体力というのは、自分が大事にしている『楽なフォームで投げる』っていうのは、結構長いイニングを疲労感なく投げれたって言うのは、一つの手応えかなと思います」
この試行錯誤の日々を支えるのは大隣憲司二軍投手コーチだ。大隣コーチは現役時代、主にソフトバンクで活躍。2桁勝利を2度マークするなど、周知のとおり実績抜群の左腕である。
「毎回試合が終わった後にミーティングがあるので、コーチと話したりもしていて、特になんですけど、大隣さんは同じ左(投手)っていうのもあって、大隣コーチには『こういう感覚でした』『ああこういう感覚ね』と(共有、疎通しやすくて)すごいそこは助かってます」
1年目にファームで経験を積み、和田選手との自主トレ、キャンプ、オープン戦で急速に頭角を現した本前。一軍の舞台も経験したことで、さらなるスケールアップが見込まれる。大隣コーチとの二人三脚で、一軍の舞台に返り咲くのは、そう遠くはないはずだ。
「いま2試合でしか投げていないので、(今年は)上で5勝は勝てるように。(一軍に)戻って、しっかりローテーションに入っていきたい。とりあえず、5勝」
最後の「とりあえず」に勝ち気な姿勢がにじんでいたのが印象的だった。パワーアップを遂げて“戻ってくる”左腕の、今季の巻き返しに注目したい。
取材・文 森田深志