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侍J、気になる“気の緩み”。2Rは東京ドーム特有の一発に警戒を【小宮山悟の眼】

WBCで侍ジャパンは3連勝で1次Rを突破した。2次Rはさらなる強敵が待ち構えていることになるが、果たして何に警戒すべきなのか? 野球評論家・小宮山悟氏が解説する。

2017/03/12

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気の緩みからミスにつながる

 侍Jが3連勝で1位通過を決めた。過去大会は2位通過だったので、いい形と言える。先発陣がリズムを作っていると昨日まで書いてきたが、試合を重ねながらブルペン陣もうまく整備されてきた。
 
 中国戦では松井裕樹投手(楽天)のピッチングが光っていた。三者連続三振も良かったが、内容も申し分ない。このパフォーマンスなら、重要な試合での起用も十分にあり得る。特に左投手が苦手なキューバ戦に起用するのも一つの手だろう。
 
 一方で、中国戦では攻撃の面で気になるところがあった。坂本勇人内野手(巨人)に代わって田中広輔内野手(広島)が「1番ショート」でスタメン出場、いい活躍をした。1回裏、中前安打で出塁し、盗塁、三塁に進んで犠牲フライで先制点。点の取り方が非常に良かったため、いい試合の入り方をしたと思ったが、その後の攻撃が少し雑になったように見えた。
 
 5回裏、田中を一塁に置いて、菊池涼介内野手(広島)とのエンドランがダブルプレーになったのは見逃してはいけない。引き金になったのは2回の小林誠司捕手(巨人)のホームランのあとのベンチの雰囲気ではないか。みんなが「まさか小林がホームラン?」と思ったのだろうが、あそこで選手全員が笑顔になったことに不安を感じた。
 
 今回のWBCは本当にミスをしてはダメだという中で、合宿から気を引き締めてきたはずだ。小林の一撃は驚くものではあったが、打った本人も笑顔になっていたのは気がかり。そうしたスキをみると、どうしても前回大会のプエルトリコ戦のミスを思い出してしまう。気の緩みがスキになっていく怖さがあるからだ。
 
 もちろん、次からの対戦相手が難敵であることは誰もが分かっているだろう。締めていくのは間違いないが、これまでは緊張しながら試合をしていたはずなのに、あのような雰囲気が出てしまうのはどうしてなのだろうかと引っかかる。一度こうなってしまうと、いざ試合が始まって序盤に立ち遅れてしまう可能性、後手に回った時に、必要以上に焦りが大きくなってしまうことも起こり得る。
 
 申し訳ないが、中国の投手陣はアマチュアよりは少し力がある程度にしか見えなかった。その投手陣を打ちあぐねた。球が遅く、コントロールも良くなく、ストライクゾーンも不安定だったことには同情はするが、もう少し気持ちよく勝ってもらいたかった。

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