侍J、オランダ戦で得た教訓。強打者が“スイングしてくる怖さ” 【小宮山悟の眼】
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は2次ラウンドに入り、侍ジャパンは12日にオランダと対戦。延長11回のタイブレークの末に勝利を収めたが、強力打線を相手に引き離しては追いつかれる苦しい展開を強いられた。ワールドクラスの打撃を前にした侍ジャパンの戦いぶり、そして14日に行われるキューバ戦にはどのようにして立ち向かうべきかを考える。
2017/03/14
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強力打線を相手に多くの教訓を得た
延長タイブレークの末にオランダに勝利した。相手に5、6点は取られるだろうと見ていた中でいかに相手先発のリック・バンデンハーク投手から得点を奪えるかと思っていたが、予想以上に点が取れた。
この試合を勝つか負けるかはかなり大きかった。例えば、序盤からオランダに圧倒されて「オランダ打線は強敵だった」と感じる試合で負けたのなら、それほど尾を引かないだろう。しかし、昨日の試合展開は先に先制し、追いつかれても本塁打で突き放した。
そして、「これで行けるぞ」と思った直後に追いつかれた。それでも、しつこく攻めて5回表に、ラッキーボーイにタイムリーが出た。重い空気の中、継投策で逃げ切ろうと思ったらまたも9回に追いつかれた。
昨日の試合展開でゲームを落としていたら2次ラウンドで敗退していてもおかしくなかっただろう。ショックの大きさを考えれば、よく粘り勝った試合と言える。
ただ、オランダの強力打線と対戦したことで多くの教訓を得たのは間違いない。まだ決勝ラウンド進出は決まっていないが、侍ジャパンが世界一を狙うチームである限りは、あれ以上を想定しなければいけない。オランダ打線の上を行くチームが待っているのだ。
例えば、先発の石川歩投手(ロッテ)はうまく緩急を使おうとしていたが、先制直後の2回裏に、ジョナサン・スコープ内野手に同点本塁打を打たれた。そもそも、スコープは田中将大投手(ヤンキース)を得意にしている。
タイミングをずらして抜いた球を泳いでいるような打ち方をしながら、バットコントロールで強い打球を打つ技術を持っている。昨日はそれでホームランにした。改めてスイングしてくる怖さを理解したはずだ
石川のカーブは効果的だが、ワンバウンドさせないといけなかった。投手にとっての低めのいいコースは、バッターからしてもいいコースにもなる。打者がいいコースだと思えるところからもう少し沈ませることが必要だ。打者が待ちきれずに振るという制球をしたい。
つまり、これがワールドクラスということだ。メジャーリーグ基準で考えると、先発投手が6、7回で、4、5失点してOKというのがアベレージになる。日本の選手は、そういう意識下での経験をしていないので、そこをどう我慢できるか。
裏をかえすと、そうした相手に勝っていくためには、6、7回ではアベレージで4、5点が必要ということでもある。バンデンハークを打ったのは立派だが、侍ジャパンの誰もが知らないという投手ではなかった。優位に働いた点もあっただろう。