キューバ戦勝利に見えた侍Jの進化。アメリカでの十分戦えるチームに【小宮山悟の眼】
WBC第5戦、日本はキューバに8-5と逆転勝利。これで5連勝となったが、チーム全体を野球評論家・小宮山悟氏はどう評価するのか。また、アメリカ行きが濃厚となったが、この先の戦いをどう展望するのか?
2017/03/15
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千賀の先発。権藤コーチの意図とは?
今大会のチームは「世界一奪還」というのを目指して取り組んできた。日本がアメリカで対戦するであろうサンディエゴRの4チームは相当にレベルが高く、そこと互角の戦いをして勝つのは簡単ではない。ただ、1試合ずつ自分たちが目指す野球を完成させるような気持ちで臨めば、いい野球ができるはずだ。
今日のイスラエル戦は日本らしい緻密な野球を期待したい。もちろん、ホームランが出るとチームが盛り上がるのは確かだが、だからといって、ホームランに期待する野球をするべきではない。つないでいく緻密な野球が本来の日本のスタイル。今日の試合はきっちりとした試合運びをしてほしい。
千賀が先発の予定だという。あれだけの落差のフォークを投げられるのは大きな武器だ。他国にとってはこれからも脅威になるだろう。95年に野茂英雄がメジャーリーグを席巻したような、センセーショナルな活躍を期待できる。
おそらく、ピッチングコーチの権藤博さんはそこまで視野に入れているはずだ。決勝Rにいくと、強豪と言われるドミニカやプエルトリコにも渡り合えるかもしれない。そのためにも今日の登板は大事になる。
今日対戦するイスラエルは1次R全勝の不気味な存在であるが、向こうの方が日本を嫌がっているはずだ。いい形で勝ってアメリカへ行きたい。
アメリカに行くと、ドジャー・スタジアムが舞台になるため、広い球場で戦える。その分、強気で攻めることができたらさらに状況は変わる。これまで私は今年の侍Jはドジャー・スタジアムにたどり着けたら御の字と話してきたが、今はもっと上の可能性も感じている。
もともとはどこに出しても恥ずかしくない選手たちの集まりだ。アメリカで一花を咲かしてくれるかもしれない。そのためにも今日はしっかり戦いたい。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。