ドラフト2023候補の注目遊撃手…仙台大・辻本倫太郎が神宮で輝くまでの歩み
2022/11/22
川浪康太郎
神宮大会最新情報
熱戦が続く明治神宮野球大会。2年連続2度目の出場となった仙台大は19日の国学院大戦に2-6で敗れ、神宮初勝利はならなかった。敗戦の中で気を吐いたのが、「世代ナンバーワン遊撃手」の呼び声高く、来秋のドラフト候補にも名前が挙がる辻本倫太郎内野手(3年=北海)だ。安定感のある遊撃の守備はもちろん、本塁打を含む2安打3出塁とバットでも魅せた。試行錯誤を続けながら大きく成長した辻本の、充実の1年を振り返る。
神宮の地で見せた、「打者・辻本倫太郎」の底力
3点を勝ち越された直後の6回、2死走者なし。カウント2ボール2ストライクから、好投を続けていた国学院大の2番手右腕・坂口翔颯投手(2年=報徳学園)が投じた低めの変化球をすくい上げ、左翼席へ放り込んだ。一塁を回ったところで拳を突き上げ、笑顔でホームイン。勝利には結びつかなかったものの、来年につながる会心の一発だった。
1年前の明治神宮大会は、今年と同じく「3番・遊撃」でフル出場。昨年も相手は国学院大だったが、福永奨捕手(現オリックス)らを擁する強力打線を目の当たりにし、打撃の重要性を痛感した。「チームが苦しいときに長打を打てる選手は大事」と考え、食トレやウエイトトレーニングで体重を増やしたほか、打撃フォームにも工夫を加え、長打力を強化してきた。2度目の神宮でのダイヤモンド一周。それは、1年間の努力が結実した瞬間でもあった。
打撃の成長が垣間見えたのは、本塁打が飛び出した第3打席だけではない。第2打席は7球粘って四球で出塁し、第4打席は初球を捉え中前打をマークした。パンチ力、選球眼の良さ、柔軟なバット捌き…。守備に注目が集まる中、「打者・辻本倫太郎」の魅力を4打席で存分に発揮した。