【WBC2023コラム】“大健闘”の中国代表、世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」から得た“価値あるもの”
2023/03/10
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未知の中国に攻めあぐねる場面も
侍ジャパンのマウンドに立つのは、3番指名打者兼先発投手の“リアル二刀流”。日本、いや世界を代表する大谷翔平だ。序盤こそ、ボールが指にかからず、制球に苦しむ様子を見せていたが、徐々に本領を発揮し、MAX160キロのストレートを中心に、4回を49球、5奪三振、無四球、被安打1と、2塁を踏ませない完璧な投球を披露した。
しかし打線は序盤、大谷の好投に応えられない。中国の先発、19歳の長身左腕ワン・シャンは制球が定まらず、6四球を与え、2回途中で降板。後を引き継いだ20歳右腕のワン・ウェイイーが2死満塁のピンチを切り抜け、侍ジャパンは3回までで2安打、残塁8という拙攻が続く。
侍ジャパンの打線が目覚めたのは4回。ヌードバー、近藤が出塁し、一死1、3塁のチャンスに大谷のバットが火を噴き、左中間を破る2点二塁打で、自らを援護する。
4回から登板した日本の二番手・戸郷は、中国打線を三者三振に仕留め、流れを引き寄せようとするが、日本打線もランナーは出すものの得点に結びつけられず、点差を広げられない。
そして、中国は6回二死からリードオフマンのリャン・ペイが、戸郷の甘く入ったストレートを左翼席へと運び、1点を返す。そして4回途中から登板したスン・ハイロンは、走者を背負いながらも要所を締める投球で、日本に追加点を許さない。
日本は6回、一死から四球と申告敬遠でチャンスを迎える。ここで中国もマウンドには、41歳の大ベテラン左腕のスー・ジャンロンが上がり、後続を抑える。
中国は7回、真砂が見事なバットコントロールを見せ、今大会初安打となる左翼線二塁打で出塁。四球でピンチを広げられるが、後続を連続三振に仕留め、流れを渡さない。次に得点が生まれたのは侍ジャパン。その裏に先頭打者の牧が、右翼席にアーチを描き、貴重な追加点を奪う。
8回には、一死満塁の好機に、途中から二塁の守備に着いた山田の今大会初打席でタイムリーが飛び出し、続く源田の押し出し、甲斐の2点タイムリー二塁打でダメを押した。
リリーフ陣も、打撃陣の奮起に応えるように湯浅、伊藤の好投で、中国の追撃を許さず、8-1で試合終了。期待されたような内容ではなかったものの、侍ジャパンが世界一奪還へ白星発進した。
試合後、栗山監督は「まずは勝てて良かった。国際大会というのは思った通りにいかないというのを見てきたけど、本当に難しいなという試合だった。まずは勝ち切れて良かった」と試合を総括し、続けて打線について「そう簡単にはならないのが野球。思いっ切り緊張しながら、硬くなりながら結果を出せるように。前半苦しむ中で、たっちゃん(ヌートバー)が全力疾走した。それが流れを呼び込むわけで、それが日本野球の原理原則だと思うし、よく走ってくれたと思う」とコメント。
先発した大谷については「状態的にはあまり良くなかったが、良くない中でまとめていけるのは修羅場をくぐって前に進んだんだなと感じる」とねぎらいながらも反省点を指摘することも忘れなかった。10日の韓国戦に向けては「(先発は)ダルビッシュでいきます。個人的なことは全て捨てると言ったが、11年前に僕がファイターズの監督になった時、(入れ替わるようにダルビッシュがメジャーリーグに移籍したため)一度、スターティングオーダーに名前を書きたかったが、それがかなう日が来る。個人的にもすごく大切なゲームになってくる」と力を込めた。