佐々木朗希が「特別な日」に捧げたウイニングボール。侍ジャパンに襲い掛かったチェコの“粘り”【WBC2023コラム】
2023/03/12
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単なる“副業野球団”ではないチェコのポテンシャル
対するチェコは第5回大会にして初めて予選を通過し、本大会に初出場するチェコ代表。ドイツで行われた欧州予選では、初戦のスペイン戦で7-21と大敗したものの、敗者復活戦でフランスとドイツに連勝し、敗者復活決勝戦で再戦したスペインを3-1で破って本戦出場を決めるというしぶとさとリバウンドメンタリティーを兼ね備えた好チームだ。実際に10日の中国戦では、9回一死、1点のビハインドからムジクの3ランを含む4得点を奪い、劇的な逆転で本大会初出場にして初戦勝利を飾り、最高のスタートを切っている。
WBSC世界ランキングによると、欧州ではオランダ(7位)に次ぎ、イタリア(16位)を上回る15位につけていることから、侍ナインが“安パイ”と見てかかれば足元をすくわれかねない力を秘めている。
攻守の大黒柱は、捕手のマルティン・チェルベンカ。米マイナーリーグで10季プレーし、2021年にはメッツ傘下3Aで7本塁打を放った実績がある。右腕のマレク・ミナリクにもマイナーリーグ経験者だ。
そんな中でも注目は、アスレチックスなどでメジャー815試合に出場した36歳のベテラン内野手エリック・ソガード。メジャー通算551安打、26本塁打、187打点の記録を残している。プラハ近郊で生まれた母の祖国の国籍を取得し、チェコ代表入りを果たした。自国出身者が大半を占める代表チームにリーダー的存在として加わり、大半の選手が、他に仕事や学業を持ちながら国内のアマチュアリーグ(エクストラリーガ)、あるいは学生野球でプレーしているナインに、その経験を落とし込んでいる。
エース格として期待されていた右腕のボリス・ヴェチェルカが、マイナー契約を結んだダイヤモンドバックスから出場許可を得られなかったのは痛手だが、宮崎でのキャンプでは、都市対抗・社会人日本選手権・JABA東京スポニチ大会のいずれの大会でも優勝経験があるアマチュアの名門・JR九州を破るなど、チームの一体感は、侍ジャパンと比べても遜色ない。特に打撃面では、10日の中国戦でも10安打を浴びせ、2本のアーチを描くなど、そのパンチ力には要警戒だ。