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大谷翔平、待望のWBC初アーチ 準々決勝は盟友のいる“大穴”との戦い【WBC2023コラム】

2023/03/13

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打線、投手陣ともに収穫大の一戦に

 この試合前のデーゲームで、チェコが韓国に敗れたため、16日に東京ドームで行われる準々決勝進出を決めた侍ジャパン。しかし、大混戦となっているA組(台湾ラウンド)の順位が不透明な状態の中、今後の展開を考えると、是が非でも1位での突破を目指したいところだ。
 
 オーストラリアの先発マウンドを託されたのは、弱冠20歳の左腕シェリフ。韓国戦では7番手として登板し、打者4人に対し1四球1死と不安が残る内容だったが、この大一番で抜擢された格好だ。
 
 しかし、立ち上がりから制球が定まらず、先頭のヌートバーを歩かせると、近藤に右前打を浴び、ピンチを迎える。
 

 
 ここで遂に大谷のバットが火を噴く、推定飛距離138メートル、看板直撃の大アーチを右中間スタンドに描き、今大会初本塁打となる3ランで侍ジャパンが先制する。
 続く村上はあわや柵越えの中飛、吉田には死球を与え、岡本を三振に打ち取ったところで早くもベンチが動き、マウンドをウィルキンスにスイッチ。山田の鋭い打球はレフト正面に飛び、このピンチを何とか切り抜ける。
 
 対する山本は先頭打者ケネリーへの初球から153キロのストレートで真っ向勝負。三振を奪うと、その後も150キロ超えの速球と140キロ台のフォークで、この回2三振を奪う最高の立ち上がりだ。
 
 侍打線は2回、先頭打者の中野が左前打と二盗でチャンスメーク。中村がキッチリ三塁に送り、ヌートバーが中前タイムリーで追加点、さらに二盗を決めると、今大会絶好調の近藤が右中間二塁打で加点、5点差とする。
 
 4回、先頭の中村が左前打で出塁すると、ここでオーストラリアのマウンドを21歳の長身左腕タウンゼントスイッチ。しかし、ストライクを取るのに四苦八苦し、ヌートバー、近藤、大谷に対し3連続四球で労せずして1点を加える。
 
 5回から登板したドーランも150キロを超えるストレートを持ちながらも、制球に苦しみ、岡本、中野を歩かせると、中村が見事な流し打ちで右翼線タイムリー二塁打、7点差とする。
 
 山本は「2年連続投手4冠」の金看板にふさわしく、150キロ台のストレートを軸に、カットボール、フォークなど多彩な変化球を織り交ぜ、4回60球で88奪三振、被安打1、無四死球と、二塁を踏ませない完璧な内容のピッチングで、オーストラリア打線に付け入る隙を全く与えず、今大会初登板の高橋奎に繋いだ。
 
 第2先発として実績を残したい高橋奎は、1奪三振を含む三者凡退に打ち取り、いい流れを引き継ぐ。2回28球を2奪三振、被安打1、四死球0と与えられた仕事を全うし、守護神候補の大勢にマウンドを託した。
 
 世界デビューとなる大勢は、先頭のグレンディニングにいきなり右前打を許すが、続くスペンスを華麗なフィールディングで投ゴロ併殺、代打キャンベルを154キロの速球で見逃し三振に仕留め、反撃を許さない。
 
 続いて登板した湯浅も、内野安打と四球で、この日初めて2人の走者を出すも、後続を断ち切った。最終回のマウンドを任された髙橋宏がホールから一発を浴び、完封は逃したが、この最少失点で試合を締めた。
 
 6回から登板したヴァンスティーンゼル、8回のガイヤー、9回のホランドを攻めあぐね、コールド勝ちの可能性もあった中で、追加点が取れなかった点は反省材料だが、序盤のリードで試合の主導権を握り、終始、相手に流れを渡さない試合巧者ぶりを見せ、オーストラリアを破り、見事に1次ラウンド全勝で1位で準々決勝進出を決めた。
 その約1時間後、台湾ではA組の試合が行われ、イタリアがオランダを7-1の大差で破る大番狂わせを演じ、全5チームが2勝2敗で並ぶ中、大会ルールである失点数を守備イニングで割った「失点率」により2位突破を決めた。
 
 イタリアは5大会連続のWBC出場で、1次ラウンドを突破したのは2013年の第3回大会以来だが、侍ジャパンにとっては文字通り“未知の相手”だ。
 
 試合後、栗山監督は「まずはここ(1次ラウンド)を通過して次に行くことしか考えてなかった。内容はいい面もあるし、反省しないといけないところ面もある。次に行けてホッとしています」と、ひとまずは胸をなで下ろした。準々決勝に向けては「1つのミスが命取りになってくる。今まで通り、しっかりつないで1点でも多く取る日本の野球をしていきたい」と意気込んだ。
 
 続けて、大アーチを放った大谷については「う~ん、大谷選手だなぁという感じですねぇ」と相好を崩した。

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