大谷翔平、見納めの“リアル二刀流”で躍動！ 全勝での世界一に向け決勝ラウンドへ【WBC2023コラム】
2023/03/17
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WBC2023 最新情報
ＷＢＣ準々決勝が16日、東京ドームで行われ、1次ラウンド全勝で1位突破した日本代表・侍ジャパンは、全チームが２勝２敗で並ぶ大混戦のＡ組（台湾ラウンド）を「失点率」の差で2位突破したイタリアを9-3で破り、大会5連勝で、現地時間20日（日本時間21日）に米マイアミのローンデポ・パークで行われる準決勝進出を決めた。
準決勝では、メキシコ（C組1位）対プエルトリコ（D組2位）の勝者と対戦する。侍ジャパンの先発は、今大会2度目の先発となる“リアル二刀流”大谷翔平。4回3/2、71球を5奪三振、被安打4、2失点の内容で勝ち投手となり、打撃でも、岡本和真も今大会初本塁打となる3ランが飛び出し、5番に降格した村上宗隆が三冠王の意地を見せ、2本の二塁打を放ち覚醒。さらにこの日、4番に座った吉田正尚からも一発が飛び出し、6回以降は、今永昇太、ダルビッシュ有の超豪華リレーで、イタリア打線を本塁打1本のみの1失点に封じ、盤石の試合運びで4強入りを果たした。侍ジャパンは3大会ぶりの世界一奪還へ、17日未明のチャーター機で侍ジャパンがついに海を渡った。
スモールベースボールが持ち味の“アッズーリ”
台湾で行われた1次ラウンドＡ組は5チームすべてが2勝2敗で並ぶという“死の組”となった。イタリアは、1位突破した強豪・キューバと、ヤクルトで活躍し、2013年に、NPBのシーズン最多本塁打記録（60本）を記録したバレンティンなどを擁したオランダから勝利を挙げている。
そして、4点差以上かつ３失点以下での勝利という厳しい条件で最終戦に臨み、見事にオランダを7-1で撃破してみせた。
そのチームカラーは、サッカーの代表と同じく「アッズーリ（青）」だ。イタリアは1次ラウンド4試合を20得点17失点、その堅い野球で、失点数を守備イニングで割った「失点率」の差で2位に滑り込んだ。そのスタイルは、これもまたサッカーの代表と同様「カテナチオ（かんぬき）」を感じさせるものだ。
イタリアは5大会連続のＷＢＣ出場で、2013年の第3回大会以来の1次ラウンドを突破。チームを指揮するのはメジャー屈指の強打を誇る捕手として通算427本のホームランを打ち、1995年からドジャースでプレーした野茂とバッテリーを組み、メッツ時代には日本ハム・新庄監督のチームメートだったことで、日本の野球ファンにもなじみが深いのマイク・ピアザ監督だ。
チームはピアザ監督同様、イタリア系アメリカ人選手が中心で、中でも注目はエンゼルスで大谷とチームメートのデビット・フレッチャーだ。華麗な守備と積極的なバッティングが持ち味で、昨シーズン、ケガの影響のあり、61試合の出場にとどまったが、一昨シーズンは、157試合に出場し164安打の記録を残している。
大谷とは、誕生日が1か月しか違わない28歳の同い年で、大リーグのデビューも同じ2018年（デビット・フレッチャーの方が約1か月早く初出場）ということもあり仲がいいことでも知られている。初来日だというデビットは、東京ドームでの練習後、「日本は全ての食事がおいしい。特に一風堂のラーメンはおいしかった。（大谷との対戦を）楽しみにしているよ」と話した。
さらに打線は、チーム本塁打はゼロと一発に頼った野球ではなく、ニッキー・ロペスとビニー・パスカンティーノ（ともにロイヤルズ）とメジャーリーグでプレーする精鋭に加え、デビット・フレッチャーの弟で、昨シーズンまで3Aでプレーし、今季のメジャーデビューが確実視されているドミニク・フレッチャー（ダイヤモンドバックス）などを中心に波に乗ると連打で得点を積み重ねる強力さを備えている。第1ラウンドを38得点、8失点という盤石の内容で勝ち上がった侍ジャパンにとって、油断ならない相手だ。
打線は大砲不在の“マシンガン打線”で、コンパクトに打てる左の好打者が揃う。機動力も駆使した小技を絡めながら、勢いに乗るとビッグイニングを作り出すスモールベースボールで日本に立ちはだかる“アッズーリ”。大谷の攻略が難しいと考えれば、バントや機動力を絡めて揺さぶってくるだろう。
イタリアメディアからの番狂わせへの期待感は日を追うごとに増しており、イタリアのスポーツ専門テレビ局のスカイ・イタリアは「イタリアは欧州での古くからのライバルであるオランダを相手に強い意志を見せ勝利し、準々決勝進出を決めた」と報じ、さらに日本との大一番に向け、「次の試合は東京ドームで行われ、対戦相手は優勝候補で、ショウヘイ・オオタニがマウンドに立つ日本だ。アッズーリにとっては楽な戦いではなく、まず劣勢に立たされることは間違いないが、奈落の底から抜け出し、偉大なチームとして再び立ち上がった我々は、情熱の翼を広げて日本戦に臨むだろう」と情熱的な記事を掲載した。
負ければ終わりのノックアウト・ステージ。WBCでは初顔合わせになるが、五輪では過去４大会で日本が4戦全勝。しかし、若手主体とはいえＮＰＢ選手が参加した2010年のインターコンチネンタルカップでは、日本打線をわずか2安打に封じ、3-0で完封勝ちしたこともあるイタリア。果たして、欧州球界の雄は日本に、そして大谷に、いかに立ち向かうのか注目だ。