大谷翔平、見納めの“リアル二刀流”で躍動! 全勝での世界一に向け決勝ラウンドへ【WBC2023コラム】
2023/03/17
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事実上“欧州ナンバーワン”イタリア野球の歴史とWBCの未来
イタリア代表“アッズーリ”は、中継ぎ投手陣の踏ん張りが効かず、中盤から終盤にかけて日本に突き放されたが、5回には大谷に集中打を浴びせ、イニング途中でマウンドから引きずり下ろすなど、その打線には見どころがあった。
実際、ピアザ監督も「スカウンティングリポートを見ても、与四球、守備の失策は研究しても防ぐことはできない。これが野球の面白さ、要素だ。何とか取り返そうとしたけど、中盤での本塁打は非常に大きかった。それでも諦めずに我々はタフなスイングをした。敗戦の中でも光るものもあった。素晴らしい経験をしたし、次のWBCにつながる経験だった」と指揮したチームを誇りに感じた様子だ。
続けて、8強入りという結果についても「イタリア野球全体、特にコーチ陣、協会の準備の賜物だった。予定した選手が登録できないなどの細かな問題もあったが、これも野球の一部。素晴らしいロースターで臨むことができた。この結果がイタリア国内でプレーをする野球人にいい影響を与えたことは間違いない。旅行がしたいからWBCに参加しているわけではない。ここで勝利を重ね、このメンタルを保ちながら、チェコ、オランダなども含めて、欧州全体の野球の普及に貢献したい」と、欧州を引っ張っていく覚悟を口にした。
イタリアのプロ野球リーグ「セリエA」は、意外と古く、戦後間もない1948年に設立され、2022年シーズンは30球団が参加。2012年には、元西武のG.G.佐藤が移籍したことでも話題になった。資金力・戦力・動員力といった国内リーグの総合力ではイタリアがオランダを凌ぎ、完全な“プロ”とはいえないものの、欧州で最もレベルの高いリーグだ。
特に助っ人外国人のクオリティーは高く、メキシコや台湾でも助っ人としてプレーしていた選手が多く、上位チームの助っ人は3A経験者や元メジャーリーガーも多い。また、近年はキューバ代表選手が派遣されてくるケースも増えてきており、年々そのレベルを上げている。
イタリア系選手としてまず名前が挙がるのは、メジャー通算2214安打を放ち、首位打者・本塁打王・打点王にそれぞれ2度獲得。ヤンキースのレジェンド、ジョー・ディマジオが挙がるだろう。加えて、ジョー・トーリ、トニー・ラルーサ、ジョー・ジラルディ、ジョー・マドンなど、錚々たる面々にもイタリアの血が泣かれている。
今大会に参加した30人の代表選手は、MLB含め、米球界に在籍していた経験がある。歴史を紐解けば、2009年の第2回大会、2013年の第3回大会に出場したアレックス・リッティ内野手は、生まれも育ちもイタリアだが、2011年から3シーズン、マリナーズでプレーし、61試合6本塁打を記録している。
今大会で侍ジャパンに立ちはだかった野球新興国はいずれも、日本に対しリスペストを示しながらも、何とか食らいついてやろうと、必死のプレーを見せ、序盤は日本を苦しめる展開となる試合もあった。
過去最高と称される今回の侍ジャパンは、「追われる立場」の苦しみを味わった格好だが、今後のWBCの舞台で、これらの国がさら力をつけて日本に挑み、さらなる接戦に持ち込むことで、大会の価値を高め、野球が世界的スポーツとなる未来に繋がるのだ。
【了】