協会・連盟の分裂問題、陽岱鋼の辞退……揺れた台湾代表。郭泰源監督は国民の悲観論を覆せるか【WBC戦力分析】
ワールド・クラシック・ベースボール(WBC)で台湾代表は、1次ラウンド・プールAでイスラエル、オランダ、韓国の順に対戦する。今大会の台湾代表監督は、現役時代は埼玉西武ライオンズで「オリエンタル・エクスプレス」と呼ばれ活躍した郭泰源氏。しかし、台湾代表の招集は第2回大会が開催された2009年と同じように「分裂」し、参加を拒否する球団もあった。
2017/02/25
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選手揃うも国内からは悲観論
台湾プロ野球ではラミゴ以外の他の3チームが今回のWBC派遣に同意したことで、打撃力の高い選手が揃った。中信ブラザーズのチェン・チーシェン内野手は、昨季30本塁打、打率.402と大活躍。そして、前回大会にも出場した林智勝内野手は2年連続30本塁打以上を記録し、かつてボストン・レッドソックスでメジャーリーグ出場経験もあるリン・ジェシュエンも22本塁打を放って存在感を見せた。
しかし、ラミゴが派遣を拒否したことで、昨季23歳で台湾プロ野球史上初の200本安打を達成し、打率.414、29本塁打をマークして首位打者のタイトルを獲得した「台湾の山田哲人」こと王柏融外野手、さらに、若干19歳ながら昨季9本塁打を放ち、台湾メディアから「天才遊撃手」と呼ばれる林承飛内野手、そして、昨季26本塁打、100打点の陳俊秀内野手の姿もなく、台湾代表は「分裂」のせいで、高い戦力となったであろう選手を失った。
そして、最も痛手となったのが北海道日本ハムファイターズから読売ジャイアンツに移籍した陽岱鋼外野手の辞退だった。郭泰源監督は外野陣の質を重視していたが、現在の台湾野球界で最大のスターでもある陽岱鋼の不在によって、他の選手を起用せざるを得ない状況となっている。
これまでの3大会において、台湾代表は計3勝7敗、勝率3割は出場16カ国の中で12位だ。今回の選手派遣を巡る中華民国野球協会と台湾プロ野球連盟の対立、他国より遅れた練習環境の確保といった問題で、台湾の野球ファンからはすでに「悲観論」が出ている。
2013年から2年間福岡ソフトバンクホークスの投手コーチを務め日本一に導いた郭泰源監督だが、国民の悲観論を覆す手腕を発揮し、強力な打撃力を誇る台湾代表を上位に導くことができるだろうか。