“ユダヤ野球”が伝統国を駆逐する――。進撃のイスラエルと発展しない台湾の悲哀
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で韓国、台湾を下し、2次R進出を確実のものとしたイスラエル。隠れた実力者は多かったものの、チーム練習であまりできない中で、高い組織力を発揮したことは特筆すべきことだ。ソウルでの試合を追っていた台湾人記者は、快進撃のイスラエルと自国の体たらくを比較し、複雑な感情を抱いている。
2017/03/08
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ついに来た「敗戦」。戦前の予想は“ダークホース”だったイスラエル
2008年の北京五輪、台湾代表は中国代表に7対8で敗れ、台湾野球は史上初めて中国に屈した。当時の新聞には「国の恥だ」「国辱もの」という過激な表現が踊った。「中国に負けるのはありえない」「10年前にはまったく想像できないこと」などの批判が噴出し、まさに台湾野球の闇の時代で、どん底に沈んだ瞬間だった。
7日に行われたWBCで台湾代表は、中東の国イスラエルと対戦し、15対7で敗北。またも屈辱を味わった。イスラエルは6日には韓国と対戦しており、延長戦で林昌勇(イム・チャンヨン)を攻略、2対1でWBC開幕戦を勝利で飾っていた。
世界野球ランキングでは、韓国は世界3位、台湾は4位で、41位のイスラエルが勝つことは通常考えられず、2カ国が連敗することはなかなか想像しにくい(編注:1位は日本、2位は米国)。ところが“野球伝統強国”が揃って倒されたことは紛れもない事実である(編注:韓国は7日のオランダ戦にも敗れ、2次R進出が絶望的になった)。
台湾のメディアは、WBCが開催する前にイスラエルを“ダークホース”と評した。マイナーリーグの選手が中心で、台湾代表にもそこまでの心配はないと分析し、オランダと韓国を1次Rの最大の障壁と設定していた。ところが、イスラエルの快進撃は、既に今回のWBCの予想図をガラリと変えた。