侍ジャパンは“丸裸”、オーストラリア代表への苦戦も必然。進む“日本包囲網”、対策への対策が急務
WBC第2戦。日本は豪州に4-1で勝利した。点差だけを見れば快勝と言ってもいいが、終盤まで侍Jは苦しめられた。それには理由がある。豪州は日本を徹底的に分析。また、その傾向は豪州だけでなく各国同様だ。日本対策もとい“日本包囲網”は完成しつつある。連勝も手放しで喜んでいいわけではない。
2017/03/09
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豪州もスカウティングレポートを入手。メキシコに敗れたのは偶然ではない
ある意味、ターニングポイントになる相手だった。
侍ジャパンの第2戦で対戦したオーストラリアというオセアニアの大国がどういう野球をしてくるのか。これから先の2次ラウンド、アメリカラウンドを考えたときに、モデルケースになるかもしれないからだ
オーストラリアのディーブル監督は昨秋の侍J強化試合を視察しただけではなく、チームとして日本選手の詳細なスカウティングレポートを作成、この1戦に挑んできた。
そのオーストラリアが対策として取り組んできたことの1つが打者への攻め方だ。右打者へはストレートとスライダー、左打者へはスプリットを多く投げる。これがこの日の戦い方だった。
ディーブル監督は言う。
「我々はいいスカウティングレポートを持っている。今日の試合はレポートのおかげだと思っている。2つ3つミスがあったが、私たちの戦い方は誇らしいものだった。自信を持っていきたい」
過去2大会のWBC優勝国・日本の注目度は、想像よりもはるかに高まっているというのが取材をしていての印象だ。
日本を倒すための対策は、単なる対戦相手の1つとしてではなく、リスペクトを感じる。目に見える選手個々の能力を把握するだけでなく、様々な方面から日本の選手をあぶり出す。セイバーメトリクスやデータが主流のMLBの影響を受けている国であればあるほど、その傾向は強い。
例えば、昨秋の強化試合で対戦したメキシコがそうだった。
中田翔、筒香嘉智、山田哲人に対し、極端なまでに守備陣形を変えてきた。中田と山田は引っ張る傾向が多いプルヒッターと分析し、全体を左に寄せた。筒香は、ライナーは広角に打つが、ゴロは引っ張り傾向にあるため、外野を定位置から深め、内野を右方向へと寄せた。
日本人選手のデータをそれ専門のウェブサイトから買い取り、加えて練習中のバッティングもつぶさに観察する。昨秋の強化試合の初戦でメキシコが日本を破ったのはただの偶然ではなかった。