侍ジャパン、陰のヒーローは坂本勇人と秋山翔吾。円熟味のある2人が見せた“バイプレーヤー”としての存在感
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)2次ラウンド初戦のオランダ戦が12日に東京ドームで行われ、勝利を収めた侍ジャパン。この試合でキーマンとなったのは、間違いなく1988年生まれの坂本勇人内野手(巨人)と秋山翔吾外野手(西武)だ。
2017/03/13
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88年世代の二人のキーマン
指揮官は、時に、言葉だけではないメッセージを送るものだ。
そのうちの一つが、スタメンの構成だ。
小久保裕紀監督はメンバー発表の記者会見で「長打はそれほど期待できない。どちらかというと長打(を期待するという)よりは一つの塁を確実に進めていく、走塁含めてそういう野球をしていきたい」と語ったものだったが、これまでの侍Jは、その言葉とは裏腹なスタメンを組むことが多かった。
1番の山田哲人内野手(ヤクルト)に始まり、中・長距離ヒッターを並べた構成からは指揮官の意図は極めて伝わりにくかった。
しかし、決勝ラウンドに向けての大事な試合の一つとなった第2ラウンド初戦の対オランダ戦。
小久保監督はスタメン表をもって、自らの意思を明確にした。
ほぼ固定だった1次ラウンドの1、2戦から、1番に田中広輔内野手(広島)を入れ、8番には今大会初めて秋山をスタメン起用したのである。
左打者を2人入れての打線には明確なメッセージが伝えられていた。
「足を使っていこうということだったと思います」
奇しくも同じ言葉を発した二人がこの試合のキーマンになった。
一人は坂本、もう一人は秋山である。
この試合においての二人の存在は、決して欠くことはできなかった。
試合を振り返る。
まず、2回表に先制した場面だ。
先頭の中田翔内野手(日本ハム)が左翼線の二塁打で出塁すると、6番・坂本が1球目をバント。これが絶妙なところに転がり犠打となって1死・三塁。続く山田が四球と盗塁を決めて、好機を拡大すると、秋山が左翼へきっちり犠牲フライを放った。
坂本のつなぎ、秋山の確実に得点を狙うバッティングで1点を先制した。
続いて3回にも二人は見せた。
菊池涼介内野手(広島)、青木宣親外野手(アストロズ)で作った好機で中田が豪快な一発。
貴重な勝ち越し3点本塁打となったが、それでも攻撃の手を緩めない。
中田の一発の余韻が残る中で打席にたった坂本は、気持ちがはやることなく四球を選んで出塁する。7番・山田が左翼前安打で続くと、秋山が中前へタイムリー。3点本塁打という一発だけではなく、きっちりつないでの1点は攻撃に厚みを加える。
同点となって迎えた5回表にも二人はつながった。
先頭の坂本が左翼前安打で出塁すると、ワイルドピッチで二進。山田は一邪飛に倒れたが、秋山は二塁走者の坂本を進塁させる二塁ゴロを放つ。左手を意図して返したかのような進塁打だった。そして、9番・小林誠司捕手(巨人)が低めの変化球を拾って中前へタイムリー。一時は勝ち越しとなった。