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侍Jは決勝Rで足を使うべき? チーム唯一のメジャーリーガー・青木が語る「いい流れになる」要素とは

15日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝ラウンド進出を決めた侍ジャパン。準決勝からは米国に場所を移して戦うが、ここからは、長打とどれだけ足を使えるかが重要となってくる。

2017/03/17

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足を使うことの重要性

 なかでも、イスラエル戦の山田、鈴木の盗塁には少し驚かされた。
 ゼイドのクイックは1.1秒台を計測したこともあり、ほとんどスキが見当たらなかった。その網をかいくぐることができる走塁の巧さに、侍ジャパンのレベルの高さはある。
 
 鈴木がこの日の盗塁をこう振り返っている。
 
「クイック、速かったですか? 僕の時はそうでもなかったです。試合前、(先発のゼイドは)クイックができる投手だと聞いていましたが、バッターに集中すると大きく投げるようになるんです。それを見て行けると思って走りました」
 
 クイックのスキを絡めた日本のそつのない野球は世界に比類なきものだ。
 これはかなりの武器になる。
 
 とはいえ、足を使う=盗塁だけではない。
 
 イスラエル戦後、ドジャー・スタジアムの環境面などを知る現役メジャーリーガーの青木宣親(アストロズ)に、決勝ラウンドで対戦する相手には「足攻は有効になるか」と訊ねると、「僕の意見ですけど」と持論を展開した。
 
「個人的には足ばかり使っているチームは弱いと思います。もちろん、要所で走るのは大事なことですけど、盗塁が目立つようではだめだと思います。打たなきゃ得点は入らないと思う。今回はホームランも多く出たし、ダブル(二塁打も)もたくさん出たのは良いこと。ダブルが出るとチームって勢いに乗るんですよ。ワンチャンスでダブルがでて、ワンヒットで還ってくるとか重要なことだと思う。ワンヒットが出て、盗塁しても、成功するわけでもないですから。その点では今年のチームはできている。向こうに行ったらホームランはでなかったとしても、二塁打が多く出るとチームとしていい流れになると思います」
 
 シングルヒットと思われた打球を二塁打にする。一塁に走者がいて、長打が出たら、必ずホームを駆け抜ける。あるいは、走者が二塁にいるケースではワンヒットで生還する。
 
 今年のチームは長打を打てることを大きな武器にして、走塁と組み合わせた戦いにすることで得点力はぐんと上がる。決勝ラウンドで対戦する投手のレベルが高くなり、たとえ、ホームランが減ることがあっても、「長打+好走塁」で得点は挙げられるはずだ。
 
 大事なのはその野球をするための意識であろう。
 決勝ラウンド前の最後の試合となったイスラエル戦で、山田・鈴木が盗塁を決め、冒頭に書いたように鈴木が一歩先の塁を取れなかったことへの悔しさを見せたことは、足への意識の高まりを感じずにはいられなかった。
 
 鈴木とレギュラーを争う立場の秋山も足の重要性を語る。
 
「決勝ラウンドからは球場が広くなったり環境が変わったりしますけど、天然芝だということもありますし、グラウンドの広さやボールの転がり方、相手のポジショニングも違いがあると思う。その点はシートノックで確認したり、練習を見ながら自分に優位なものにしていかないといけない。注意力や観察力を研ぎ澄ましてプレーすることが一発勝負においては大事だと思います。それは僕自身だけが思っているわけではなく、チームとして、みんなが理解していることです。1点をどうやって取っていくか、1次ラウンド、2次ラウンドの中で、確認してできていましたからね。違う球場にいっても、やれるかどうかが、世界一という称号が近づくと思う」
 
 走塁を細かく見ていくと、たくさんの要素が絡む。
 鈴木が話していたイスラエルの投手のクイックが状況によって変わることもひとつだし、環境の変化によって打球が思うように転がらなかったりすることもあるだろう。対戦国の外野手がどれほどのタイムで返球をしてくるかも見ていけば、付け入るスキはたくさんあるはずだ。
 
 サンディエゴで開催中の、第2ラウンドF組のドミニカ対プエルトリコ戦では、凄まじい個の力のぶつかり合いを見た。
 
 まともに組んだら、侍Jに勝ち目はない。
 ならば、中・長距離を並べた打線の長打と走塁を生かした攻撃に活路を見出したい。
 長打率5割強と走塁力で「世界一奪還」を果たしてもらいたいものだ。

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