WBCで全敗、台湾野球なぜ弱体化? 合わない収支と天下り、悲しき“公務員野球”の末路
WBCで全敗に終わった台湾代表。野球強豪国であるはずが、まったく元気なく敗れた背景には何があるのか。日本とソウル、両方の会場で取材した台湾人記者は現状を嘆いている。そこには試合以前の問題は存在していた。台湾野球の弱体化を招いた分裂騒動を追う。
2017/03/20
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ついにきた打倒協会の流れ。「公務員野球」への猛批判
WBC惨敗後に、フェスブック上では新たな組織を創立された。「協会を改革しよう!野球を救おう!」というスローガンでデモも呼びかけており、5万人以上がデモへの「参加」ボタンを押した。
彼らはすでに協会に絶望している。むしろ協会の「解散」が一番良いと望んでいる。協会と政治家の癒着の解消、公務員のようにただの予算を消化する悪循環を正したい。協会側の「公務員野球」を打倒したいと訴えている。
今回の選手たちも台湾野球の「未来」を深く話して、ネットでも話題になった。協会側がいつも「国のために頑張りましょう」と選手を招聘し、結局選手は国のために頑張るものの、協会はWBCで得られる賞金を選手たちにほとんど賞金を公平に渡していない。WBCの「野球発展用の賞金」は協会が得たが、その使用用途は一切公表されず、まるで消えたような状況。これには猛烈な批判が続いている。
プロ野球球団のラミゴ・モンキーズは、「今度はプロ野球が主導権を握る国家代表チームで参加するしかない」と明言。協会に反対し、プロ側を支持する明確な態度を示した。さらに、マネージャーも「協会はアマチュア野球のことをしろ!私たち球団はプロ野球選手が何を望んでいるか分かっている!」「国家代表に全員プロ野球選手を使うなら、プロ野球球団の指示を従い、そして資金運用も透明に公表すべき」など痛烈に非難。ところが協会が「国家代表」をコントロールしたことで、強豪ラミゴの選手は不参加となった。
ラミゴの選手は2013年のWBCで一度参加したことがある。当時の方針は、プロ野球の黄鎮台理事長が資金を募集し、主導権を握り、選手に「出場費用」を支払った。選手たちと球団は黄理事長に感謝し、結局プロ野球全球団の参加が達成された。
2013年の協会は、ただMLBとの連絡をとるだけで、主な仕事は飛行機の予約のみ。今回ラミゴの不参加により、王柏融外野手、陳俊秀内野手、林泓育捕手、林柏佑投手、陳禹勳投手などの有力選手が相次いで欠席した。
2017年現在、台湾の野球界はまた統一されてない状況で、「協会派」と「プロ野球派」で勢力争いをしている。WBCの結果は、分裂中の台湾野球界を鑑みれば当然と言える結果だ。野球界が統一されないなら、選手の育成、野球の発展、環境の改善など、これからの道のりは遥かに長いものになる。