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侍Jが世論を覆し決勝R進出を決めた要因。小久保監督が貫き続けた選手への信頼

第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場している侍ジャパンが4大会連続の決勝ラウンド進出を決めた。大会前までは過去最低の予選ラウンド敗退の予想があったなか、全勝突破の要因を振り返る。

2017/03/21

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監督のなかで“譲れるもの”と“譲れないもの”

 プールB開幕戦となったキューバ戦で、小久保監督は強化試合の最終戦でいい流れを生み出した打線をそのまま採用した。4番に筒香嘉智外野手、5番に中田翔内野手を固定させたところからの思い切った策を確かなものと信じた。
 
1番・山田哲人、2番・菊池涼介、3番・青木宣親、4番・筒香嘉智、5番・中田翔、6番・坂本勇人、7番・鈴木誠也、8番・松田宣浩、9番・小林誠司
 
 小久保監督の指揮官としての個性を捉えると、「頑固さ」と「柔軟性」といえるのかもしれない。
 
 記者会見などを聞いていると、「4番は筒香で行きます。何があっても変えない」など、頑なな姿勢を見せる一方、「クリーンアップは変えるつもりはない」とした宮崎合宿の宣言をあっさりと撤回した。
 
 彼自身のなかで譲れるものと譲れぬものがしっかりと整理された印象だった。
 
 そして、オーストラリア戦を終えたあたりからは、指揮官自身の言葉にも力強さが生まれ、腹が据わった。
 
 1次ラウンドで2連勝し、2次ラウンド進出を決めた小久保監督は消化試合となった第3戦目の中国戦では、大幅なメンバー変更に打って出た。
 
 小久保JAPANの中核を担ってきた坂本勇人内野手(巨人)をスタメンから外し、1番ショートに田中を入れ、疲れの見える青木宣親外野手(アストロズ)もベンチに下げた。代わりに平田良介外野手(中日)をスタメン起用して、2次ラウンドでの戦い方を整理した。
 
 もちろん、中国戦は試せるゲームであったのは事実だが、この機会を無駄にしなかったのも小久保監督の「選手の状態の見極め」に大きく影響しただろう。
 
 第2ラウンド初戦のオランダ戦のメンバーを見ると、小久保監督の柔軟性が見て取れた。
 
 中国戦でいい働きを見せた田中をそのまま1番でスタメン起用、8番には秋山翔吾外野手(西武)を入れた。オランダの先発が日本でおなじみのリック・バンデンハーク投手(ソフトバンク)であったことも関係しているが、左打者を打線に多く組み入れることで、オランダのエースの出鼻をくじこうと狙った。
 
 いわば、小久保監督は中国戦での「1番・田中」起用は、坂本の休養によるただの代役とはしなかったというわけだ。田中がどれだけのチームにフィットするかを見極めるための起用だったということである。また、中国戦に途中出場して1打席で結果を残した秋山にしても然りだ。

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