たった一球で「全てが台無しに」。国際大会ならではの得難い経験、敗戦を糧にさらなる成長を【プレミア12】
「第2回WBSCプレミア12」は12日、スーパーラウンド2日目を迎え、野球日本代表「侍ジャパン」はアメリカ代表と対戦。終盤までもつれる試合展開も、一発に泣き3-4で敗れた。
2019/11/13
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国際大会に参加する意義
とは言え、そうした経験こそ国際大会でしか踏めないものだ。それこそ、侍ジャパンの一員として参加したものが経験できる大きな財産とも言えるだろう。
侍ジャパン・建山ピッチングコーチは、大野に限らず、この日は打ち込まれた投手たちについての課題をチーム全体として受け止めているとこう語った。
「日本がこれまでの試合で勝ってきたのは、相手投手の四球を絡めてのものでした。しかし、逆にそれを課題としなければいけない。打たれて取られる失点は覚悟していこう。攻めの気持ちを失ったり、四球でやられるというのは避けて行こうという話をしてきました。
今日に関しては初球のストライク率がうまくいっていなかったので、バッター有利になっていた。全体の反省はそこですね。相手がストライクゾーンは必ず振ってくるアメリカということで、ちょっと構えてしまったところもあるかもしれないです」
ボールを投げたくて投げようという投手はほとんどいないだろう。しかし、そうさせてしまう怖さがアメリカにあった。そうした反省こそ、ここに集まった投手たちがさらなる成長ができる要素ということだ。
建山コーチは続ける。
「素晴らしい投手に来てもらっているので、これからも個々の特色を前面に出してもらうことに変わりない。その中で困った時に相手の弱点をつけることができるように、こちらとしても持っていってあげたいですね」
全力で投げた球が、打たれ、そして、負けた。
その反省が大会中に生かされることが最も喜ばしいことではあるが、負けたからこそ学び成長できることがある。
この日、ホームランを浴びた大野は、今後、中堅からベテランの領域に差し掛かっていく選手だが、まだまだ成長できる。この経験が彼を大きくすることは間違いないはずだ。
氏原英明