早実・清宮はプロ入りすべきか? 成長続ける怪物に適切な進路は…【小宮山悟の眼】
春季高校野球東京都大会決勝が4月27日に神宮球場で行われ、早稲田実が日大三を下した。同試合で2本塁打をマークした早実の清宮幸太郎選手は、プロへ進むのか、もしくは大学進学やメジャー挑戦になるのかと、注目している人が多いだろう。小宮山悟氏に、清宮の進路に関してどう考えているのかを訊ねてみた。
2017/05/02
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清宮のすごさはスイングスピード
4月27日、神宮球場にて東京都大会決勝・日大三対早稲田実の試合を観戦した。
平日のナイター開催で大きな話題になっていた試合だ。延長戦に及ぶ壮絶な打ち合いとなり18-17で決するというプロでは考えられないような展開で、高校生らしい試合だった。今回は、高校通算本塁打84本の早実の主砲・清宮幸太郎選手を中心に論じていきたい。
多くの方の注目は早実の3番・清宮幸太郎だろう。私も、彼の打席を注目してみていた。6打数2安打5打点、2本塁打を叩き込んだ。2本目は土壇場の9回に3点を追う場面で放った同点弾だった。
一発が出れば同点というチャンスに回ってくるのだから、清宮の強運には改めて驚かされる。そのホームランは変化球を逆方向に打った。カーブを無理やり引っ張らずに、センターオーバー(バックスクリーン左の左中間スタンド)を打ったのはレベルの高いバッティングができている証拠だ。
彼の凄さはスイングスピードの速さだ。今年の高校生の中では頭一つ抜けている。しかし、過去の高校野球界のスラッガーとして比較してしまうのは、少しかわいそうな気がする。
高校野球の代表的なスラッガーと言えば清原和博や松井秀喜になるが、清宮はまだそのレベルには到達していない。物足りないとは言わないが、結果から見ても足元にも及ばない。
もちろん、メディアが騒ぎたくなる気持ちは分かる。清原や松井も、中学生くらいから有名だったが、清宮のケースはリトルリーグの世界大会で優勝した。ヤンキー・スタジアムで活躍を見せ、アメリカのメディアが“ジャパニーズモンスター”と全米中にアナウンスしたのが始まりだ。
彼はその後、既定路線を踏んで早実に入学したが、父親である克幸氏は大学・プロ双方で日本一を経験した有名ラグビー監督だ。そういうものも含めて、日本のメディアが話題にしようとしたのだろう。そして、注目されていた中で、高校入学早々打ち始めたために、いまのような騒ぎになった。
そういう経緯からかつてのスラッガーの清原や松井と比べたのだろうが、まだ何も結果を残していないうちにどんどん彼の評価が高くなってしまったのは否めないだろう。本人には少しかわいそうに思う。もちろんそのような難しい中で、順調な成長曲線を描いてきたのは、すごいことだ。