【第4回】野球とベースボールの狭間で。 米ピッツバーグ『世界一野球を“楽しむ”大会』選手インタビュー
様々な問題が山積し、岐路に立つ日本野球界。野球の本質の一つである”楽しむ”という原点に立ち返り、現状を見つめなおすべきかもしれない。米ペンシルバニア州ピッツバーグにある小さな国際大会から、現地リポートをお届けする。最終回となる今回は、同大会に3度出場したある選手へのインタビューだ。日米の野球の違いをよく知る立場から、大会の魅力を掘り下げ、そして日本球界の進むべき道についても検討してくれた。
2019/09/02
佐藤温
―大学やアメリカで野球観は変わりましたか?
『主将も務めた大学では、中高の野球部を経験していない部員の扱いに難しさを感じていました。アメリカで、さらに多様な選手や野球観に出会い、人のマネジメントという部分を学べたことは、人生の一つの転機になったと思います』
―日本のアマチュア野球界にメッセージをお願いします。
『たとえば甲子園が全てではなく、キャリア全体を考えた野球との付き合い方が浸透してほしいと思います。また、アマチュア野球界では、指導者と感覚が合わないと、出場できないということも現実にはあります。選手たちが様々な意見の板挟みにならず、純粋に楽しめる環境ができればいいなと願っています』
この夏は、若い選手の酷使問題や、プロ野球チームの指導者による暴力沙汰などが広く取り上げられた。こうした報道や議論では、有識者や大人の目線から問題が扱われることが多いが、選手自身の感じるところにも焦点を当てる必要性があるのではないだろうか。そして、Sさんの体験談は、幅広い経験を通じて、理論や感覚をアップデートすることの重要性を示している。選手たちにより豊富な体験が提供される環境整備が期待される。