「これでしか勝てない」。侍ジャパン、小技で劇的勝利呼び込むも“国際大会で打てない”現状【プレミア12】
野球日本代表「侍ジャパン」は11日、オーストラリア代表と対戦し、3-2で勝利。お家芸の足と小技が光り劇的な逆転を演出したが、裏を返せば打ち勝つことが出来ない打線の現状も顕著に表れた。
2019/11/12
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作戦が噛み合わなかった中盤
象徴していたのは作戦面が足を引っ張っていたことだ。
5回裏、先頭の浅村栄斗が左翼前安打で出塁するも、松田宣浩にバントを命じ、これがうまくいかずに遊撃フライ。源田壮亮は二塁ゴロで一塁に残ったものの、牽制死でチャンスを潰してしまう。
6回裏にはまたも先頭の會澤翼が左翼前安打で出塁したが、相手の右サイド投手用に1番に抜擢された丸佳浩に犠打を命じた。これは成功したが、2番の菊池涼介は力のない右翼フライ。3番・近藤健介は四球でチャンスを広げたものの、鈴木は三塁ゴロに倒れた。
5回から登板した2番手の田口麗斗が無失点に抑え、6、7回を岸孝之がゲームをリメイクしてくれていたから、ゲームの流れを膠着させることができていたが、打線がなかなか打開できないムードは、決して優位な試合運びとはいえなかった。
そんな中で7回裏を迎えたのだった。
7回裏は先頭の吉田正尚が追い込まれながらも技ありの中前安打で出塁、ここで稲葉監督はすかさず代走に周東佑京を送った。周東は6番・浅村のところで、二盗に成功。浅村はこの際に三振。続く松田も三振を喫して、8番の源田を迎えた。
そして、代走の周東は源田のカウントが1―1となったところで三盗を決めた。
この決断はチャンスを広げたと同時に、カウントが2ボール1ストライクとなったことで源田のセーフティバントを生み出している。一塁に投げていれば微妙なタイミングだったが、相手の守備にも助けられて貴重な1点が入った。