【MLB】トミー・ジョン手術に並ぶ新たな治療法が確立?ロイヤルズ投手が靭帯損傷から異例スピードで復帰
2017/06/03
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新たな治療法による負担減の可能性
米国で、断裂した靭帯を再建する「トミー・ジョン手術」に並ぶ新たな治療法が話題となっている。
MLBでは肘の靭帯断裂で、実戦復帰までに12~15か月もの長期離脱を必要とするトミー・ジョン手術を受ける選手が続出している。日本人ではダルビッシュ有投手や和田毅投手、NPBではソフトバンクのロベルト・スアレス投手が同手術を受けたことは記憶に新しい。
そのような状況の中、MLBサイトでは2日付で新たな治療法を特集。トミー・ジョン手術では靭帯そのものを体の別の部位から移植していたが、損傷状況によっては新技術で靭帯を修復することで実戦までの復帰期間を6~7か月に短縮できるというものだ。
同治療法は靭帯もしくは腱の両サイドにビスを埋め込み、そこに新しく開発された靴紐のような縫合テープを取り付けることで患部の治癒を図るものであり、患部の状態が良好な場合に有効であるとされている。
同記事では靭帯や腱を、ヨットを係留する際のロープに例え、新しいロープは補強すればまだ使えるが、古く、擦り切れたりしているロープは新品への交換が望ましいとしており、前者を新治療法、後者を従来のトミー・ジョン手術に当てはめている。そして、修復か交換の判断は外科医の診断に委ねられるとしている。
一方で、この治療法の開発に携わっているジェフリー・デュガス医師は「トミー・ジョン手術については多くの素晴らしい経験があり、その成果はMLBが高いレベルを維持していることで証明されている。そして、私はまだこの治療法を多くの選手に勧めたいとは思わない。患部の状態が悪い選手にこの治療法は勧められないからだ。そして、この治療法は将来的にもトミー・ジョン手術にとって代わられるものではないと考えている」と話しており、同治療法の一般化に慎重な見解を明らかにしている。
また、同記事のリンジー・ベラ記者は「同治療法が開発されてから日が浅く、復帰後長期間にわたって選手が活躍したデータがないため、1年から5年の契約を持った投手がこの治療法で靭帯再建を目指すことが統計的にも望ましいだろう」とのコメントを残している。