「考えすぎ」が大きな武器に マリナーズ・菊池雄星が掴んだ“うまさのあるピッチング”【雄星リポート第2戦】
シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が、29日(日本時間30日)のボストン・レッドソックス戦に先発登板した。勝ち星こそ付かなかったが、メジャー仕様のスタイルで挑んだこの日の投球では、ボガーツに浴びた一発を境に、“うまさ”が感じられる投球が光った。
2019/04/02
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速いチェンジアップで打者を幻惑
特に2回表ボガーツの一発以降は、バランスのとれたピッチングを披露。カーブを投げ始め、スライダーは空振りを狙う低めものだけではなく、横変化のものも織り交ぜてタイミングのズレを誘った。
そして、4回表、ボガーツの2打席目を迎えると、今度はチェンジアップを2球投じて、幻惑して見せたのだ。
菊池が力説する。
「(ボガーツにホームランを打たれて)目線というか、ボールを散らばしながら投げないといけないと感じたので、チェンジアップを投げることで対応しようと思いました。実際にそれができて良かった。今、投げているチェンジアップは球速が速いタイプのものでシュートのようなイメージで投げています。『なんだこの球は?』とバッターが反応してくればいいなと。ボガーツがキャッチャーに球種を聞いていたので、打者からも違うボールを投げているという認識になっているんだなと思った」
ボガーツの3打席目は、全ての変化球を使って三振に切って取った。スライダー、カーブ、そして、チェンジアップ。うまさのあるピッチングは、メジャーリーグという大舞台にきて身につけた菊池の変化である。
実はチェンジアップは菊池の中で、課題の一つだった。
日本時代はストレートとの緩急、変化量を求めていたが、今はスピード重視だ。これは、持ち球のほとんどの球速を似せるための取り組みで、メジャーリーグという高いレベルの打者が集う舞台で必要とされるものだ。
メジャーに来てからの菊池が成長の一途を見せている背景には、日本とは異なるマインドや文化を素直に受け入れて、具現化できているからだろう。かつては、「考えすぎ」と揶揄されることしばしばあったが、たくさんのことを受け入れようという度量が、今となっては彼の大きな武器になっている。