MLB主砲の定位置とは?イェリッチは「2番」ベリンジャーは「4番」 チーム最多本塁打者を打順別に検証【ナ・リーグ編】
2019年はメジャーリーグで史上最も多くの本塁打が生まれたシーズンとなった。その数、6776本。2017年の6105本を671本も上回る驚異的な数字だった。試合の流れを大きく変えうる本塁打は、当然チームの「主砲」が中心となって積み重ねられたが、彼らはそれぞれどの打順で放物線を描き続けたのだろうか。そして、そこに「傾向」はあるのだろうか。今回は後編として「ナショナル・リーグ」をお伝えする。
2020/03/29
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西地区
◇ドジャース チーム合計279本
<チーム内の最多本塁打>47本 コディ・ベリンジャー外野手
<打順別内訳>2番:1本、4番:42本◎、5番:2本、6番:2本
◇ロッキーズ チーム合計224本
<チーム内の最多本塁打>41本 ノーラン・アレナド内野手
<打順別内訳>3番:26本◎、4番:15本
◇ダイヤモンドバックス チーム合計220本
<チーム内の最多本塁打>35本 エドゥアルド・エスコバー内野手
<打順別内訳>2番:4本、3番:24本◎、4番:4本、5番:3本
◇パドレス チーム合計219本
<チーム内の最多本塁打>33本 ハンター・レンフロー外野手
<打順別内訳>4番:10本、5番:20本◎、6番:1本、9番:2本
◇ジャイアンツ チーム合計167本
<チーム内の最多本塁打>21本 ケビン・ピラー外野手、マイク・ヤストレムスキー外野手
<打順別内訳>ピラー=1番:1本、3番:2本、5番:1本、6番:12本◎、7番:3本、8番:2本
ヤストレムスキー=1番:7本◎、2番:6本、5番:1本、6番:3本、8番:3本、9番:1本
地区7連覇を達成したロサンゼルス・ドジャースは、本塁打でも地区最多、リーグ最多となる279本をマークして強大な攻撃力を見せつけた。チーム最多はコディ・ベリンジャー外野手の47本。個人ではメジャー4位の数字で、2017年の新人王はわずか3年でメジャーを代表するスラッガーに成長した。最も多くのアーチを描いたのは「4番」での42本。前後にも27~36本の頼もしい大砲が控えており、ベリンジャーはその中でノビノビとバットを振り続けた。チームはオフにボストン・レッドソックスからムーキー・ベッツ外野手を獲得し、打線がさらに強化されたが、ベリンジャーとベッツはともにレギュラー起用が確実。今季も開幕から4番で大台50発を目指していきたい。
コロラド・ロッキーズは地区4位に沈んだが、本拠地の利を生かして本塁打は2位と相変わらず多かった。ノーラン・アレナド内野手やトレバー・ストーリー内野手、そしてチャーリー・ブラックモン外野手と長距離打者が揃っているが、最多本塁打はやはり過去3度のリーグ最多本塁打のタイトルを獲得したアレナドで41本。2017年から3番として定着し、昨季も「3番
」として最多の26本塁打をマークしたが、4番で起用されることも多く15発を放った。
アリゾナ・ダイヤモンドバックスとサンディエゴ・パドレスのチーム本塁打はわずか1本差。220本だったダイヤモンドバックスのチーム最多本塁打はエドゥアルド・エスコバー内野手の35本で、前年の23本から大幅増となるキャリアハイの数だった。シーズン前にはゴールドシュミットが抜けた穴はあまりにも大きいとされていたが、エスコバーは十分に補ったと言える。打順としては「3番」で最多の24発。また、その他2番~5番にかけても柔軟にこなし複数の本塁打をマークした。パドレスはハンター・レンフロー外野手による33本塁打が最多で、2年連続26本塁打からの更新に成功。「5番」で20本の放物線を描いている。しかし、オフにトレードでタンパベイ・レイズに移籍。リーグを越え、そして地区としても西から東に移動したことでどのような活躍を見せるか注目だ。
地区3位となり3年連続でシーズン負け越しとなったサンフランシスコ・ジャイアンツは、ナ・リーグで2番目に少ない167本塁打に終わった。チームの最多は21本でベテランのケビン・ピラー外野手とルーキーのマイク・ヤストレムスキー外野手が並ぶ格好に。本来主砲として期待されたエバン・ロンゴリア内野手が左足の故障で129試合の出場にとどまり、20本塁打に終わったことでチームとして長打を生かした攻撃が機能しなかった。それでも、俊足のピラーが「6番」で12発、29歳ながら1年目で「7番」として7発というパンチ力を見せたことは今季への飛躍へ向けたプラス材料になるだろう。
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