中日「悪くない滑り出し」。驚異的なビシエドの打撃の柔軟性と対応力【小田幸平の眼】
オープン戦では同率最下位、評論家の予想も軒並み低かった2016年の中日ドラゴンズ。阪神タイガースとの開幕3連戦は1勝2敗に終わり、31日試合前時点で2勝3敗。ドラゴンズOBで評論家の小田幸平氏は「悪くない滑り出し」と語る。
2016/03/31
ビシエドの打撃は“柔らかさ”が特徴
――いよいよ開幕ですね! 我らが中日ドラゴンズは、阪神タイガースとの開幕3連戦で1勝2敗と負け越してしまいましたが……。小田さんは3連戦をどうご覧になりましたか?
小田 はい、まさにビシエドのワンマンショーでしたね!
――たしかに! ここまで13打数8安打、打率.615、打点6(3月28日時点)、ホームランは3戦連発の3号です。
小田 いやぁ、オープン戦ではあまり良くないと思っていたんですけど、ここまでやるとは思っていませんでした。
――シーズン直前には夫人の出産に立ち会うために一時帰国していましたが、帰ってきてくれて本当に良かったです……。それにしても凄まじいビシエドの打撃ですが、どういうところが良いのでしょう?
小田 とにかくバッティングが柔らかいんですよ。型にはまっていなくて、右にも左にも打てる。それに、難しいボールもバットに当ててヒットにしてしまいます。強振できるということは、しっかりタイミングが取れているということなんですよ。
――なるほど。いきなりこれだけ打てるということは、対応力があるということなんでしょうか?
小田 対応力はありますね。他球団もオープン戦を見て、ビシエド対策をしているはずなんです。27日に行われた3戦目の4打席目では、阪神の歳内投手が7球全部フォークを投げるというすごい攻めを見せましたが、ビシエドはファウルで粘ってヒットにしてしまっているんですよ。
――2打席目のバックスクリーンへのホームランもすごかったですが、あの打席もすごかったです。
小田 まだ3試合しかしていませんが、対戦が一回りするぐらいまで今の調子が続けば、すごいことになると思いますよ! あとは体がどれだけ丈夫かが心配ですね。調子が良いだけでは長いシーズンは保ちませんから。でも、この3連戦を見る限り、ドラゴンズの看板として打線を引っ張る打者になることは間違いなさそうです。
――ただ、一つ気になるのは、ビシエドのホームランが全部ソロだったことです。
小田 打線のめぐりがちょっと悪かったですね。ビシエドと調子の良い高橋周平の打順をつないだら、もっといい結果が出たかもしれないし、周平が出て、ビシエドが返す打順にしたら、もっと良かったかもしれない。ただ、それは結果論なんで。一回りぐらいまでは現在の打線で様子を見ると思います。あとは、打線がビシエド頼りにならないようにしなければいけませんね。