出塁率でも大記録を達成する可能性があるソフトバンク、柳田悠岐
現在、四球数が両リーグトップの「25」で、出塁率は.478を記録しているソフトバンクの柳田。このままいけば、歴代の記録を塗り替える可能性もある。
2016/04/22
12年連続最多出塁数の王貞治
NPBの出塁率を独自集計してみた。打率もつけている。
過去に最多出塁数が表彰されていた時代も、出塁率として換算している。
そのため、1985年以降の犠飛数が計算式に含まれている現在のNPBの出塁率ランキングとは異なるのでご了承願いたい。
上記の理由から、85年よりも前の時代の選手が多くなる。
1. 王 貞治 1974年 .534(打率.332)
2. 景浦 將 1937年秋.515(打率.333)
3. 王 貞治 1973年 .504(打率.355)
4. 王 貞治 1966年 .499(打率.311)
5. 桝 嘉一 1938年春.493(打率.330)
6. 王 貞治 1965年 .493(打率.322)
7. 王 貞治 1967年 .490(打率.326)
8. 王 貞治 1976年 .488(打率.325)
9. 落合博満 1986年 .487(打率.360)
10. 王 貞治 1977年 .482(打率.324)
ご覧のとおり、戦前のショートシーズンの選手2名と1986年の落合博満を除いて、王貞治の名前が大半を占める。
当時、王は12年連続で最高出塁数で表彰されていた。
柳田は、現在の出塁率は歴代15位あたりに位置するが、今年の出塁率の記録は、歴代の数字と大きく異なる。
それは歴代10位内の選手の打率の大半は3割を大きく超えている中、現在の打率は.266、四死球による出塁率は.212にも達しているのだ。
当然、昨年.363で首位打者を獲得した柳田だ。実力を考えれば、打率はこれからさらに上昇することが予想される。
打率が上がれば、投手陣はこれまで以上に警戒する。相手が勝負を避けるようになれば、四球数は減らないだろう。
仮に柳田の打率が.350まで上昇し、この間の四死球による出塁率が.200をキープすると、出塁率は.550に達する。
そうなれば、地味ながらも現在のNPB記録の更新はおろか、過去にさかのぼっても歴代1位に躍り出る可能性すらある。
日本ではほとんど注目されない出塁率だが、MLBでは打者の価値をあらわす数値として非常に重要視される。
「マネーボール」で知られるオークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMが、出塁率が高い選手を集めて強いチームを作ったのは有名だ。
ビーンが獲得したいと躍起になって果たせなかったケビン・ユーキリス(キャリア最終年に楽天でプレー)は、ボストン・レッドソックスのスター選手になったが、出塁率が極めて高かったため「四球のギリシャ神(風貌がギリシャ彫刻に似ていた)」と呼ばれた。
今年はまだエンジンがかかっていない柳田だが、チームへの貢献度はすでに高い。今後の打席に注目したい。