ヤクルト山田哲人、史上初2年連続のトリプル3へ死角なし。前人未到「40-40」も現実的に【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は昨年トリプルスリーを達成し、ここまで調子が上向いているヤクルトの山田哲人についてだ。
2016/05/17
MVPを獲得した昨季前半、山田は不調だった
NPBは7週目を終わった。昨年のセ・パのMVPは、ともにトリプル3を達成したソフトバンクの柳田悠岐と、ヤクルトの山田哲人だった。
今季、柳田は4本塁打、16打点、5盗塁、打率.261とまだ本調子ではないが、山田は絶好調。
昨年の7週目終了時点での数字と比較すると、意外なことが見えてくる。
2015年の7週目終了時点で山田は5本塁打、13打点、4盗塁、打率.252、全く目立たない成績だった。山田は2014年、初めて規定打席に到達。193安打、打率.324をマークした。開幕前から大いに期待されていただけに、この時点ではやや期待を裏切った感があった。
実は昨年のこの時点では山田哲人は、中軸打者でさえなかった。
昨年7週目時点でのヤクルトの打撃オーダーと成績だ。
山田は4月2日から10試合3番を打ったが、他の30試合は1番打者、3番には主に川端慎吾が座っていた。この時点でチーム打率は.231で5位、打線としても低迷していた。
真中監督は、7月8日に山田を再び3番、川端を2番に据えたが、ここから打線の状態が急上昇し、ヤクルトはペナントレースを制したのだ。最終のチーム打率は.257で1位だった。
打線の組み換えがチームを活性化させ、勝利を呼び込んだのだ。山田だけでなく他の選手の成績も軒並み上昇した。
今季、山田は不動の3番打者。昨年は固定できなかった1番には新加入の坂口智隆が主に務める。バレンティンも完全復活して打線に厚みが加わった。チーム打率はリーグ3位だが、.264と昨年最終の数字を上回っている。
山田は昨年後半からの勢いをキープし、好成績を挙げているのだ。
昨年は、山田の後ろを打点王を獲得した畠山和洋が打つことで、山田へのプレッシャーが分散され、勝負される機会が増えたが、今季は畠山よりもさらに強力なバレンティンが後ろに控えている。山田との勝負を避ける投手は、今年も少ないと考えられる。