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丸佳浩、菊池涼介、田中広輔……5年先を見た一気通貫のスカウティングで、将来の主軸候補を発掘

カープが25年ぶりにリーグ優勝を果たした。その背景には、チームを陰で支えた人物たちがいた。

2016/10/02

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長所を重視するスカウトが見つけた菊池

 担当スカウトが足繁く通って獲得した選手の一人に、今季のMVP候補にも挙がる菊池がいる。高校時代の実績はさしたるものではなく、中京学院大学2年時まで彼の名は知られていなかった。

 しかし、菊池を高校時代に指導した監督は、松本有史スカウトにとって亜細亜大学の先輩だった。その推薦を受けて見にいくと、「選手の長所しか見ないようにしている」という松本スカウトは衝撃を受ける。アマチュア選手を見て、鳥肌が立ったのは初めてだった。

 ショートを守っていた菊池はセンターに抜けそうな当たりに飛びついて捕ると、膝をついたまま1塁に送球した。松本スカウトが「140キロは出ているのでは?」と思うほどの球で、「忍者か」と感じたような動きだった。

 この頃から菊池はバッティングにも秀で、大学2年時にはリーグの三冠王に輝いている。そして大学全日本代表にも選ばれ、徐々に名を轟かせるようになった一方、各球団の評価は分かれていた。正面のゴロを捕球ミスするなど、守備に粗い点が見られたからだ。

 だが、松本スカウトの評価は揺るがなかった。

「短所は練習を繰り返せば直せるじゃないですか。対して、忍者みたいな動きは教えてもできません」

 外れ1位か2位で指名しないと獲得できない――。

 松本スカウトはそう主張し、1位の野村に続いて2位での指名に至った。担当スカウトの執念が、未来のカープの主軸獲得につながったのである。

「欲しいのはカープに合う選手ではなく、本当に野球を知っている選手」

 苑田スカウト部長は、指名ターゲットについてこう説明する。いくら打率3割を残しても、進塁打を心がけずに自分の打撃ばかりを優先しては、チームが勝利を手にできないからだ。チームバッティングをできる選手は新井貴浩や丸、菊池が代表格で、こうした姿勢についてもスカウトはプロ入り前から目を光らせている。

 今季1番として打線を牽引した田中は、そうして入団した一人だ。東海大相模から東海大学を経て、JR東日本時代に「すごく良くなった」と苑田スカウト部長は感じた。

 左投手を苦手にせず、守備でもスローイングの安定感は群を抜いている。ショートのレギュラーだった「梵英心と競わせれば面白い」と感じ、2013年ドラフト3巡目で指名。入団3年目の今季、苑田スカウト部長の目論見通りにショートの定位置をつかんだ。

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