丸佳浩、菊池涼介、田中広輔……5年先を見た一気通貫のスカウティングで、将来の主軸候補を発掘
カープが25年ぶりにリーグ優勝を果たした。その背景には、チームを陰で支えた人物たちがいた。
2016/10/02
12球団で1番やり易いスカウトシステム
カープの指名は基本的に高校生、高卒社会人が中心だが、例外もある。レギュラーが故障して出られない場合や、後釜候補が伸び悩んでいるケースだ。
ただ、その際に適材適所の補強をできるのは、最初に大きな枠組みとして「5年先」を見ているからだろう。
まずは大きな網を獲得ターゲットに向けて仕掛け、現場の変化に応じてピンポイントに釣り糸を垂らす。そうしてチームづくりを行い、“将来のレギュラー選手”という大きな獲物を釣り上げてきたのだ。
「即戦力は今、チームにいるんです。極端な話、キクマルのポジションに大学、社会人で一流と言われる選手を入れても、絶対にかなわない。だから5年後にレギュラーをとれるような感じの高校生や21歳の社会人をとって、キクマルの力がちょっと落ちてきたときにポーンと出てきてくれるような補充の仕方をしています」(苑田スカウト部長)
グラウンドで駒となる選手を獲得するスカウト陣は、いわばチームの土台づくりの担当者だ。彼らが中長期的視野を持てなかったり、上の人間が簡単に方針を覆したりすれば、その歪みは現場の成績凋落となって表れる。それは、セリーグのライバル球団を見れば明らかだ。
「カープのスカウトは自分のチームが補強するポジションの選手だけを追っていけばいいんです。オーナーがそういうシステムをつくってくれたので、12球団でカープのスカウトが一番やりやすいと思います」
苑田スカウト部長がこう語るように、球団として一気通貫の選手獲得方針の下でブレずにチームづくりを行ってきた結果、今季、四半世紀ぶりの優勝という最高のかたちで報われた。