筒香嘉智、松井秀喜以来の「日本人50本塁打打者」の可能性【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は今季二冠に輝いた筒香嘉智についてだ。
2016/12/12
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セリーグでは松井以来の二冠
横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智は今季44本塁打、110打点でセリーグの打撃タイトルで二冠を獲得した。日本人選手で、この二冠を獲得したのは、昨年の埼玉西武ライオンズ・中村剛也に続くが、セリーグでは2002年の松井秀喜までさかのぼる。
筒香は松井秀喜以来、セリーグに久々に登場した日本人スラッガーだと言えよう。
筒香と松井はともに高卒で、現在は左打ちの外野手だ。そしてプロ入り時の背番号はともに55だった。二人の25歳までのキャリアSTATS(筒香は24歳時点のシーズンまで)を比較してみよう。
松井は星稜高校時代、超高校級の強打者と言われた。3年夏の甲子園での「5打席連続四球」によって一躍全国の注目を集め、鳴り物入りで読売ジャイアンツ入りした。
筒香も横浜高校2年の夏には「1試合8打点」の高校タイ記録をマークするなど、松井ほどではないが将来豊かな選手として期待されていた。
松井は巨人入団後、2年目に全試合出場を果たし、以後も順調に成長。24歳で二冠王に輝いている。
筒香は内野手で入団するも故障などもあって伸び悩んだ。しかし2014年に中畑清監督(当時)の決断で左翼に固定されてから成績が急上昇した。
回り道をした分、これまでの通算成績では松井に大きく劣っているが、今年になって、一気に成績で松井を上回った。ようやくその才能を開花させたと言える。
今や大半の日本のプロ野球の球場のサイズはMLBとそん色ないレベルにまでなった。
しかし球場が大きくなると比例するかのように、日本人で本塁打を量産する選手はめっきり減ってしまった。本塁打王の水準も下がり、和製大砲は数えるほどになってしまった。