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頑固さに支えられた芯の強さ 斎藤佑樹よ、今は「もがけるだけもがけ」【小宮山悟の眼】

千葉ロッテ、さらにはニューヨーク・メッツでプレーし、現在プロ野球解説者・評論家の小宮山悟氏の連載。さまざまな球界のニュースや動きに対して、小宮山氏の眼にはどう映るのか? 新しい野球のミカタをファンの皆さんに提示していきたい。新年一発目は、期待も込めて、自身の大学の後輩でもある北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹についてだ。

2015/01/10

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甲子園で、重い十字架を背負った

 実は斎藤が大学4年生の時、彼に次のようなアドバイスを送ったことがある。
 
「世間の人たちには、お前(斎藤)に対して、甲子園の決勝戦で、田中将大と延長再試合の死闘を繰り広げた、あのイメージが強く残っている。そして、お前と同い年の野球選手は、間違いなく、そのすべてがあの死闘を見ていただろう。その試合で一応、勝ち負けの優劣がつき、田中よりも斎藤のほうが上という位置づけになったわけだ。
 だから、お前が意識しようがしまいが、世の中の人すべてが、あの年代のことをハンカチ世代という。田中がプロの世界で活躍しようと、おそらくマー君世代とは呼ばれる日は来ない。これは、お前がとてつもなく重い十字架を背負ったことを意味する。斎藤のこれからの野球人生を考えた時、お前自身がそのことをどれだけ意識して過ごせるかが、一番のポイントになると思うよ」
 
 世代を背負う覚悟。それは甲子園で活躍したスター選手の宿命かもしれないが、斎藤はそういう重さを背負いながらプロ野球界でプレーしているのだ。そして実際に、そのハンカチ世代という重圧を背負う覚悟を斎藤本人の姿勢からも感じている。
 
 成績を残せない。発言と結果が違う。
 斎藤に対して、そういう批判があることは確かだろう。そして、その批判が期待の裏返しであることも承知している。
 
 ただ、そういう批判をする人たちにも、彼がわれわれの想像する以上の過酷な重圧の中でもがいていることだけは理解してほしいと思う。
 
 実は、ハンカチ世代の他にもう一つ、斎藤は早稲田大学野球部という十字架も背負っている。これは斎藤だけでなく、野球部の後輩に何度か話したことであるが、「早稲田野球部OB」という肩書は、実社会に出てから、学生時代に自分たちが想像しているよりもはるかに重みを増す存在となるのだ。

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