【里崎智也×ザック生馬特別対談】侍JAPANへの提言#2 小久保ジャパンの課題、何のための強化試合?「チームのルール作成は必須」
昨年11月の強化試合は3勝1敗と面目を保った。 しかし、さもオールスターのような起用に終始した小久保裕紀監督の采配には疑問を抱かざるを得なかった。果たして、強化試合の4試合から見えたものはあったのだろうか。 里崎智也氏、ザック生馬氏からは厳しい指摘がとんだ。
2017/01/03
キャッチャーは情報を入れ過ぎるな
ザック ルール統一のためのミーティングって、2006年にあったんですか。
里崎 ないです。
ザック バッテリーミーティングはあったでしょう?
里崎 ない。資料がないのにどうやってするんですか。
ザック ちょっと待ってください!例えば、スカウトやスコアラーが作った資料ではなかったとしても、少なくとも数字、打率と出塁率と長打率。こんなバッターですみたいなのもない?
里崎 例えば、メキシコのやつなんてないですよ。
ザック だけど、僕があるテレビ局のために、資料作りする。あるいは自分が話をするためにも資料作ります。そんなのはネットで調べればできる。チームなら、コーディネーター一人でもいれば、この選手のメキシカンリーグではこういう数字でした。カナダの独立リーグではこれでしたとかありますよね。
里崎 数字はわかりますよ。だから、何?って感じなんですよ。インコースが強いとかは分からないですよ。
ザック それは分からないですけど……。
里崎 僕はその程度の情報ならいらないと思います。嶋基宏にも無駄な情報を入れるなっていったことがあるんです。長所や短所、傾向は勉強したほうがいい。でも、その選手の背景や実績はいらない。メジャーで何本打っているとか、何百勝しているとか、そういう情報を入れると感性が鈍るからです。
ザック なるほど。
里崎 この選手はインコースで抑えられると感じても、昨季メジャーで40本塁打と知ってしまったがために、危ない、危ない、外に行こうってなる。
――その打者は外が得意かもしれない。
ザック ただ、少なくとも、ぼんやり相手を知ることは必要がないですか。
里崎 僕は知らないほうが良かった。NO資料、見た限りで投手のいいものを引き出して、打者が詰まっているか、タイミングが合っているかをみたりしていました。
ザック その感性は、反応や足を見ているんですか。
里崎 反応とか、足の動きやタイミングの取りかた、バットの出方ですね。全部見て、いけそうか、やめといたほうがいいかと自分で判断していた。
ザック NO資料で、嶋選手や大野選手はできるんですか
里崎 彼らにできる能力があるかどうかは分からないです。僕は感性重視のリードだった。もちろん、資料は見ますけど、資料と僕の感性が真逆なら、信じるのは感性です。
ザック それだと悔いはないですね。
里崎 当時の実況では僕がインコースばかり攻めるから、怖いとか、色々言われていたみたいですけどね、僕は優勝したんですよね(笑)。
――つまり、結果がすべてということですね。
里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮高)、帝京大学を経て、98年のドラフト会議で、千葉ロッテマリーンズを逆指名して、入団。03年に78試合ながら打率3割をマークし、レギュラー定着の足がかりをつくる。05年は橋本将との併用ながらも、日本一に貢献。06年にはWBC日本代表として世界一にも輝いた。持ち前の勝負強さで数々の名シーンを演出。00年代の千葉ロッテを牽引した〝歌って、踊って、打ちまくる〟エンターテイナーとして、ファンからも熱烈に支持された。14年限りで現役引退。現在はプロ野球解説者・評論家を務める傍ら、TV番組にも多数出演。
ザック生馬(ざっく・いくま)
1974年12月23日東京都生まれ、北米在住25年(トロント、ニューヨーク、フィラデルフィア)。ペンシルベニア大学学士号を習得。三桂事務所所属スポーツキャスター2016年スポナビライブ ニュースMC、実況(DeNA、中日&MLB戦)を務めた。過去には2015年UStreamドラゴンズライブTV、 2013-14年『FOX SPORTSジャパン』千葉ロッテマリーンズ リポーター 2007-13年日本テレビ「オードリーのNFL倶楽部」も担当した。