DeNAへの人的補償は平良拳太郎。プロテクトリストから外した巨人、13年ドラフト組の熾烈な生存競争【死亡遊戯コラム】
DeNAが巨人にFA移籍した山口俊の人的補償として、平良拳太郎の獲得を発表した。
2017/01/06
巨人でチャンスを掴んだ田口、逃した平良
「二人のうちの1人しか生き残れないという覚悟の中で、どちらが勝つかという指導をしています。チャンスは平等に与える。でも、1軍に行くための席は1つしかない場合はほとんどです」
横浜DeNAベイスターズが読売ジャイアンツにFA移籍した山口俊の人的補償として、平良拳太郎の獲得を発表。
第一報を聞いたとき、15年シーズンの岡崎郁元巨人2軍監督インタビューを思い出した。
あの日、ジャイアンツ球場で期待の若手投手として名前が挙がったのが、沖縄の星・平良と同期入団のサウスポーの名前だった。
13年ドラフト3位田口麗斗と5位の変則サイド右腕平良。与えられた背番号は90と92。ともに95年生まれ。
先発ローテの半分をFA選手と外国人投手が占める巨人では、ドラフト中下位指名の高卒投手がそこに食い込むのは至難の業だ。
岡崎前監督の言葉を借りればイスはあって1つ。入団以来、その1つの枠を巡って田口と平良は激しく争ってきた。
1年目オフ、「IABF 21U ワールドカップ」代表選手にともに選ばれ(巨人投手陣からの選出はこの2人のみ)、イースタンリーグ15年開幕投手が田口、16年開幕投手は平良。
一足先に1軍デビューした田口は2年目に1軍で12試合に先発して3勝を記録。そのまま同期を突き放すと、3年目は球団で89年桑田真澄以来27年ぶりの21歳以下シーズンでの2ケタ勝利を達成し、次代の左腕エース候補へと躍り出た。
対する平良は昨季、東京ドームで初登板初先発のマウンドに上がりながら、4回途中4失点KOとホロ苦デビュー。
その後、右肘痛で投げられない時期があったものの、2軍では6勝2敗、防御率2.31の好成績。今オフにはプエルトリコのウィンターリーグにも参加していた。
平良も高卒3年目投手の成長曲線としては順調と言えるだろう。しかし、同期で同い年投手との「1つのイス」を巡る争いに敗れた。
チャンスは少ないながらも、確かにあった。それを掴んだ者と逃した者。
プロテクトリストは「未来」ではなく、「今」を守るものだ。酷なようだが、FA補強の多い巨人の若手は「現在進行形の戦力」に食い込めなければ生き残るのは難しい。