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元ロッテ・大松尚逸「引退」ではなく「現役」。悩み抜いた男の決心【後編】

昨年10月に、千葉ロッテマリーンズから戦力外を通告された大松尚逸。千葉ロッテでの12年間で、身体的な悩みを抱えることもあった。その苦悩を2回にわたってお伝えしていく。今回は後編だ。

2017/01/22

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よみがえる千葉ロッテマリーンズでの12年間

 その一方で12年間を過ごした千葉ロッテマリーンズ時代の思い出が頭をよぎる。
「やっぱり2010年ですよね。初めてあれだけ(142)試合に出て、チームも日本一になれた。あと2010年の日本シリーズの怪我。あれは大きかったですね。あれも自分の一つの転機になったかなとは思います」
 慣れ親しんだ仲間と、もう一緒には戦えない。それが寂しくも感じた。
「2010年はCSで一緒に戦っていますけど、日本シリーズという一番の大舞台で一緒に戦うことが出来なかった(編集部注:日本シリーズ第1戦でケガをして、その後同シリーズは出場なし)。当然、悔しさはありましたけど、それと同時にもう1回、あの輪に入って、一緒に優勝したいという想いが沸いていましたね」
 一時は千葉ロッテ選手会の役員としてチームを引っ張り、仲間と一緒に笑いあったり、支え合ったりもした。同時に背中に感じていたファンの熱い声援も、もう聞くことが出来ない。そう思うと熱いものがこみ上げた。
 
 2012年のシーズン、不振で苦しみ、打席に入るとブーイングが起きたあの悔しさも今となっては懐かしい思い出と振り返る。
 
「当時は精神的にきびしいものは当然ありましたよ。でも、結果的に自分の蒔いた種というか成績が出ないなかで、使ってもらっていたので……。そこでファンの方々がヤキモキしたとは思いますし、そういう想いがあることも重々分かっていました。プロ野球ってそういう世界だとも思うんですよ。ファンの方はお金を払って見に来ているわけですから、(ブーイングも)仕方なかったと思うし、僕らは結果で納得してもらうほか、ないわけですからね。そこはシンプルに考えましたよ。自分が頑張ればみんな納得して、また応援してくれるだろうって」
 話をすればするほど感心するくらい、彼の精神力は鉄のように強固なものだと実感する。
 

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