ヤクルトでは由規以来の160キロも!? 新たな「ロケットボーイズ」誕生なるか。ドラ2・星に膨らむ夢【2017年ブレイク期待の選手】
今シーズンの巻き返しに向け、投手陣の再建を目指す東京ヤクルトスワローズに加わった5人の新人投手。その中でも明大からドラフト2位で入団した星知弥には、これまでチームにほとんどいなかった速球派として、大きな期待がかかる。
2017/02/06
「継続は力なり」を証明した大学最後のシーズン
14年ぶりのセリーグ優勝から一転してBクラスに沈んだ東京ヤクルトスワローズが、今シーズン巻き返せるかどうか。そのカギは一にも二にも、昨年は両リーグワーストのチーム防御率4.73と低迷した投手陣の再建にある。
そのために昨年の秋季キャンプでは現有戦力の底上げを図り、オフには多くの投手を獲得した。外国人ではロス・オーレンドルフ(前レッズ)、デービッド・ブキャナン(前フィリーズ傘下AAA)、プレストン・ギルメット(前タイガース傘下AAA)の3名。新人では寺島成輝(ドラフト1位、履正社高)、星知弥(同2位、明治大)、梅野雄吾(同3位、九産大九産高)、中尾輝(同4位、名古屋経済大)、菊沢竜佑(同6位、相双リテック)の5名。計8名のピッチャーが、2017年の新戦力として加わった。
そのルーキーたちの中からはドラ1の寺島のほか、大学、社会人出身の星、中尾、菊沢が一軍キャンプに参加。高校生ながら堂々の1位指名を受けた寺島はもちろんだが、昨年の六大学リーグ戦で明大の連覇に貢献し、明治神宮大会でも優勝の立役者となった星に対する期待も、非常に大きなものがある。
星の最大の武器は、12月の入団発表で自ら「セールスポイントはストレート」と話したように、阪神タイガースの藤川球児を目標として磨いてきたという最速156キロのストレート。その速球は宇都宮工高時代から注目され、ドラフト候補にも挙げられていたというが、甲子園出場がかなわなかったことからプロ志望届を出さず明大に進学した。しかし、六大学リーグではなかなか結果を出すことができなかった。
3年まではほとんどリリーフ専門だったこともあり、初めてリーグ戦で勝利を挙げたのは4年春の対早大1回戦。そこからはほぼ先発として投げ、秋のリーグ戦では6試合(先発5試合)の登板で3勝2敗、防御率はリーグ4位の2.13。春秋連覇を決めた立大戦でも、勝利投手となった。
さらに11月の明治神宮大会では、全3試合に救援登板。決勝の桜美林大戦では5回からのロングリリーフで無失点に抑えると、8回には自ら本塁打を放つなど、アマチュアでの球歴を最高の形で締めくくった。
大学最後のシーズンで、これだけの飛躍を遂げた要因はどこにあったのか。星を担当したヤクルトの橿渕聡スカウトはこう指摘する。
「もともといいモノを持っていたのに、それが出せなかったっていうことじゃないですか。期待されていて球も速かったんですけど、力任せというかスピードガン表示は150(キロ)出ていても、質が良くなかったんです。それで自分なりにいろいろ考えて、投球フォームも少し変えたり、地道にやってきたことが最後のシーズンにつながったっていうことだと思います」
継続は力なり──。座右の銘だというその言葉を胸に、試行錯誤しながら努力を続け、それが実を結んで大学4年の秋に大きな花を咲かせた。だから、橿渕スカウトは「潜在能力はまだまだ眠っていると思う」と、今後ののびしろにも期待を寄せる。