WBC各国なぜ”強豪化”? 苦戦必至の侍J、決勝R進出なら合格だ【小宮山悟の眼】
日本時間の2月9日、WBCの公式Twitterにて、予備登録選手を含めた全選手が発表された。いよいよ2017年のWBC第4回大会が本格スタート。各国がメンバーを揃えた今大会はかつてないほどのレベルの高い大会になると予想される。
2017/02/14
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侍ジャパンは決勝ラウンドに進めたら合格
こういった背景には、一昨年に開催された「プレミア12」の存在があるのではないか。WBCは、もともとMLB主導でやっていた。
そうではない形の大会が必要だとたくさんの国が協力して、もうひとつの世界大会『プレミア12』を開催した。
そのことによって『世界一を決める大会』がWBCだけではなくなってしまった。それを受けて、WBCの開催側も対策を練ったのではないか。
第4回大会に関しては、全面協力とは言わないまでも、水面下でMLB球団への協力を要請した可能性はある。
明確な証拠が明らかになっているわけではないが、WBCを本当の意味でも世界一の大会にしたいとMLB側が望んだのだとすれば、今大会は相当ハイレベルな戦いになる。
そうした状況は、「世界一奪還」を掲げる侍JAPANにとっては手放しで喜べるわけではない。世界各国が「強豪国化」してきたことで、かなり厳しい戦いを強いられることになるはずだ。
ご存知のように日本はメジャー組が野手の青木宣親(アストロズ)を除いて欠場が決まった。日本の大黒柱として期待された大谷翔平も故障で辞退。
ファンの方々に怒られるかもしれないが、決勝ラウンドが開催されるロサンゼルスのスタジアムに侍JAPANが進めば、よくやった。今回は「合格」と言えるのではないか。
それくらい厳しい大会になるはずだ。
第1ラウンドは日本とキューバが勝ち上がるだろう。
第2ラウンドは韓国ラウンドからどのチームが進出してくるかは分からないが、もしオランダが出てくるとすれば、バンデンハーク(ソフトバンク)がいる。
彼を打ち崩すのは簡単ではなく、苦戦することも十分にあり得る。
日本にとって大谷の離脱は戦力的に痛手ではあるが、そこを嘆いても何かが変わるわけではない。『大谷がいないから期待できないとか言いやがって』と選手たちが奮起する材料になる可能性はある。
たしかに相手国は強力メンバーだが、それだけ戦い甲斐があるとも言える。チーム一丸となり、1つひとつの試合を粘り強く戦ってくれることに期待したい。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。